印象深かったフレデリクスボー城 を後にして、お次は?ということになりますが、
いったんヒレルー?(ヒレレズ)の駅まで戻ってローカル線での移動になります。


デンマークのローカル線


一見したところでは、ローカル線とも思われぬ垢ぬけ具合ですけれど、
一時間に3本程度しか走ってないとなれば「なるほど!」と思わずにはいられない。


ですが、コペンハーゲンの街中から一時間ほどのところで、
もはやこうした運行状況の路線があるとは、
東京のことを考えると

ピンと来ないところでもあろうかと。


とまれこの列車に乗って、今度はクロンボー城(Kronborg Slot)に向かいますが、
実はこの移動途中にも実はひとつ「Fredensborg Slot」という、
こちらはガイドブックでは宮殿と呼び習わされているところがありまして、
どうせなら寄っていきたいところながら夏の一時期しか公開されていないということで、

やむなく端折った次第。


ですので、ローカル線の終点「Helsingør」に直行したわけですが、
この地名がまたいかにもデンマークでありますね。


カタカナ読みでは「ヘルシンゲル」、「ヘルシンゴア」、「ヘルシンオア」と

さまざまに書かかれたりもするようですが、「g」を読まず「ø」が「ウ」に近いとなれば、

「ヘルシンウーア」みたいな感じかなと思いますですね。


ただこの地名が英語になると「エルシノア」となって、

シェイクスピア 「ハムレット」の舞台となるわけです。


で、ヘルシンウーア?駅から歩くことしばし、
海に突き出すような岬の上に世界遺産クロンボー城はありました。


クロンボー城


こういっては何ですが、「城館」という側面で考えるならば
圧倒的にフレデリクスボー城の方が優っていると思うのですけれど、
クロンボー城の価値というのは違うところにあるのでしょうね。

全体像はこんな感じです。


クロンボー城 全体像

例えて言えば

函館の五稜郭のような(五稜郭ほど均整はとれてませんが)張り出し部分が見られ、

(といっても、五稜郭が西洋築城術に依っているわけですから、おかしな比較ですけれど)

そうした場所に大砲が置かれたわけですね。


要するに交通の要衝に位置するという歴史的な意味合いの現れでしょうか。

この当たりの詳細は城内の展示に詳しく紹介されてましたが、
北海とバルト海とを結ぶオーレスン(Øresund)海峡の取り分け狭まったところにあって、
通行税の取り立てを行っており、大砲で脅しつけても徴税する役どころ。


ですから、クロンボーもまた「城塞」的な存在というべきなのでしょう。

1420年代のことだそうです。


こうしたそもそもの位置づけがあってか、
後には(1785年~1924年)デンマーク軍の司令部が置かれていたりもしたのだとか。


例によって(?)地下にはダンジョンがあるのも道理という気がしますけれど、

この地下が暗い…のは当然としても、観光客向けに灯りを設置するてなことがないようで、

クロンボー城の地下を歩くには懐中電灯(せめて携帯電話の明かりですかね)が必要ですね。


ただ、こうした面ばかりでは文化遺産らしくない気がしないでもないですが、
何度も触れているようにシェイクスピア「ハムレット」の舞台としての価値もまたあろうかと。

ちなみに世界遺産たる証しとは、このようなもののようです。


クロンボー城の世界遺産たるを証す?

ところで、このクロンボー城があるヘルシンウーア?ですが、
オスロからコペンハーゲンへ渡る船 からも見えたように、
対岸のスウェーデン、ヘルシンボリとの間には

フェリー(所要約20分)が行き来しているのですね。


となれば、スウェーデンからも世界遺産クロンボー城を目指して観光客がざくざくか!と思うと、
確かにスウェーデンからざくざくフェリーで渡ってくる人たちはいるものの

どうやら興味の対象はクロンボー城ではなさそうな。


では目的は何ぞ?となりますが、お酒を買いに来るのだそうですよ。

街中には酒屋さんがあちこちに目につくのでして、このお店などもそのひとつ。
お店の名前からして「Svenska Vinhuset」、「スウェーデン・ワインハウス」ですものねえ。


Svenska Vinhuset


昨年ストックホルムに行ったときにお酒の値段の高さにも買いにくさにも思い至りましたですが、
これもひとえにスウェーデン人が大酒飲みであることに起因していることからすれば、
お酒に困っている人たちがスウェーデンにはたくさんいるということなんでしょうね。


デンマークは(日本に比べれば高いですが)スウェーデンよりも安く手軽に買えるということで、
フェリーで渡ってきてはまとめ買いをしていくのだそうでありますよ。
世界遺産も日々の晩酌には勝てないわけですなぁ。


時間が許せばフェリーでヘルシンボリに渡って、

もいちどちょこっとスウェーデン !とも思ったですが、
フレデリクスボー城とクロンボー城を見て回ってコペンハーゲンへと戻るので、

いっぱいいっぱい。


ガイドブックなどでは例によって城めぐりに加え、
コペンハーゲンへの途中にある美術館を回るコースどりとしてあるようですけれど、
ゆっくりじっくり見てたらとてもそんな時間はありませんですね。


ただし、この日は夕刻コペンハーゲンに戻ってから(つまりは夜に)もうひと見物したんですが、
それはまたこの次のお話ということで。


クロンボー城の遠望