観光地にはほんとうにたくさんの博物館やら美術館がありますよね。
それらの多くはかなりテキトーな展示物であったり、
入場料のわりにはあまりに小さな施設であったりするものですから、
観光客たるこちらの側でも「そういつもいつも引っかかってたまるかい」という思いにもなって、
僅かばかりの良質な、良心的な施設を見逃すということにもつながりかねない。
要は見極めの問題でありましょうけれど。
ところで、ここでタイトルに挙げた「伊香保おもちゃと人形 自動車博物館」という施設も、
相当にテキトーさを醸しているではありませんか。
名前の最初に来る「伊香保」は単に地名ですから、
「伊香保おもちゃ」とか「伊香保人形」とかいう名物があるわけではないのでして、要するに
「伊香保にあるおもちゃと人形と自動車を展示してある施設なので博物館と言ってます」
的なものだろうと予期したわけですが、
そのごった煮感にいささかの興味をそそられ出向いてみたのでありましたよ。
すると、予想を遥かに(それこそ宇宙的規模で)上回るすさまじいごった煮施設なのでありました。
外観はいったい何の施設かよく分からないですが、
決して安普請ではない確固としたふうではあります。そしてその中には、
施設の名称どおりに「おもちゃと人形博物館」、「自動車博物館」というコーナーがあるのはもちろん、
その他に「テディベア博物館」、「昭和レトロテーマパーク(駄菓子屋横丁)」、「昭和スターロマン館」、
「農業林業王国」、「リス園」、「世界のワイン&ビール」とあれもこれもと詰め込んだコーナーが
次から次へと並んでいる。
これだけ多岐にわたるとそれぞれがチンケでと想像されるかもですが、これがそうでもないのですね。
どれもこれもオーナーが趣味で集めた品々を一挙公開に持ち込んだのでしょうけれど、
よくまあ集めたものだなぁと。
おもちゃや人形のコーナーではロンドンの「Pollock's Toy Museum」が思い出されましたが、
あそこは小さな建物にぎゅぎゅぎゅっとであったのに比べるとたっぷりしたスペースを使っておりましたよ。
で、先に並べたあれこれのコーナーで年代的につい反応してしますのが「駄菓子屋横丁」でありまして、
例えばこんなふう。中にあるテレビもしっかりブラウン管の年代物でありますね。
さらに、駄菓子屋横丁というくらいですから店そのものの再現ばかりでなく、
街角の雰囲気も再現しているのでして、「ああ、こんなゴミ箱があったっけな」と思ったりしますし、
ホーローびきの看板もまた懐かしさを醸すところではないかと。
後から出てくる自動車コレクションのコーナーといささかかぶりますが、
オート三輪もスバル360も「たくさん走っていたよなぁ」と。
ちなみに自動車コレクションの方はこうした小型車ばかりでなく、
いわゆるスポーツカーと言われた類いも多々展示されていますので、
これまたロサンゼルスの「Petersen Automotive Museum」を(こちらは)小ぶりにしたような感じ。
懐かしさという点では「昭和スターロマン館」に展示された映画ポスターやらブロマイドの数々は
昭和初期から昭和50年代、60年代までをカバーしてまして、
「いたいた、こんな人!」とか「わっけ~!!(若い)」とかつい口をついてしまう。
一端建物から庭のようなところででれば、ハーブ園なんかがあったり(農業林業王国の一部らしい)、
さらにはかなり大きいので、もやはカゴとは言わず檻というべきところに
走る廻るリスがいたり(リス園ですな)する。
懐かしいばかりだと大人しか喜ばないでしょうけれど、
(詳細は端折りますが)いろいろなコーナーではお子様向けの体験メニューがたくさん用意されていて
ともすると一日遊べてしまうのではとも思われるわけです(何かするごとに費用はかかりましょうが)。
ともかく唖然とするほどのごった煮感、全てが全て、誰にも興味のあるものではないにせよ、
これだけあれこれをオーナー個人の趣味(たぶん)で集めまくって、それを収める建物を作って…
という初期投資は必要なものの、きっと誰よりもオーナーが楽しんでるんだろうなと思いますですねえ。
「断捨離」が言われて久しいご時勢ではありますが、
今までの人生で集めた品々を全て展示したとしたら、どんな人のものでも見る側に
「ほぉ~」と言わせるプライベート・コレクションになっていたのではないかと思わせます。
個人的にも相変わらず「おかたし」路線で進んでおりますけれど、
やっぱりウルトラマンのソノシートはとって置こうかなと。
どうせジャケット表紙にアリナミンだかオロナインだかオロナミンだかのおまけでもらった
ウルトラマン・シールをべったべたに貼っているので、
マニア向けのお店で買い取りもしてもらえないし…(笑)。