映画『沈まぬ太陽』 | ~【自反尽己】日々是精進~ 

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「自反尽己(じはんじんこ)」自反とは指を相手に向けるのではなく、自分に向ける。すべてを自分の責任と捉え、自分の全力を尽くすことである。

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14:30から18:00。

これが私が鑑賞した「回」の上映時間でした。

約3時間半。
最近の映画ではかなり長編となる作品ですね。
その為、途中で一旦「トイレ休憩」的な10分間の休憩がありました。


今日が公開初日ですので、あまりネタバレしないよう書きます。

人の入りですが、
やはり初日ですのでほぼ満員でした。
と言っても前の方の端に座ってたので、あまり後ろは見てないんですが。

客層は年配の方がほとんど。
やはり(制作側は架空の話と言っても)あの御巣鷹山の事故を中心とした話でもありますから、
当時の事故やニュースをリアルタイムで知っている世代が見に来ている…
そんな印象でした。
私なんか、今日の客層からしたら若い方でしたね、おそらく。


原作を2ヵ月前に読んだ自分の目からすると、
序盤はちょっと展開が早すぎかな、なんて思いましたが、
原作の文庫版だと5巻になる話を3時間半に収める為には
仕方ないのかなとも思いました。

でも、基本的に物語(作品)の核たる部分は抑えてたと思うので、
さして大きな不満ではありませんでしたね。


それでも不満を挙げるならば、
八馬役と堂本役のキャスティングかな、と。

八馬は渡辺謙演じる主人公・恩地の、前労働組合委員長なんです。原作の最初の方では。
映画ではそこは省いてますが。
そう考えると、八馬役に西村雅彦というのは年齢的にちょっと合わないかなと
自分は感じてしまいました。

八馬の方が少し年齢や社歴が上ですから。
むしろ、堂本役を演じた柴俊夫の方が適任かなと。

で、堂本というのは原作だと「転校者」なんです。
いわゆるアカから、思想を転じて会社側の手足となって動くようになった人物なわけで。
自宅でクラシック聞くような、静かでどこか不気味な人間として原作では描かれてる人物でありまして。

確かに原作と映画は違いますが、でもその辺りはもうちょっと拘っても良かったかな、
なんて感じてしまいました。

あとは個人的には、志方、八木、和光…あと三井美樹や行天もか。
その辺りの人物が、原作では他の人物が行った行動を彼らにさせてたり、
あるいは脚本上全く描かなかったりというのがありましたね。

ま、長いとはいえ3時間の枠を考えれば、
それはどうしても仕方ないんだと思います。


全体の感想としては、決して悪い印象ではありませんでした。
多少、原作を知らない人からしたら急展開に付いていきづらいとこもあるかもですが、見応えある内容だと感じました。


涙がポロッときちゃいましたしね、やはり。
特に序盤の墜落のあたりはどうしても…。

宇津井さんの各シーンには、打たれるものがありましたね。

ちなみにその宇津井さん。
今日24日が誕生日だそうで。(パンフレットに載ってました)
78歳ですか。
やはりこうした存在感ある役者さんが居ると、
作品がより、引き締まりますね。
それは龍崎役の品川さんや、利根川総理役の加藤剛さんにしても同じ。



航空会社を通して、昭和の会社と人との繋がり・対立、労働の意味を、
そして事故を通して、生命・家族・責任・誠意を、
描いたり、あるいは問うている作品と思います。

本音いえば、2部作にして、
目一杯重厚に作ってもいいんじゃないか、とも個人的には思いますが、
まあそこはいろいろと制作的にも社会的にも難しい面とかあるのでしょう。

●航からしたら苦くなる作品と思いますが、
それでもこの作品がついに映像化され、公開されたことは
それだけで意味があることと思います。


関心のある方は是非、映画、あるいは原作を見て、読んでいただけたらと思います。






最後に。

今作が遺作となった山田辰夫さんに、追悼…。