メイク・ア・ウィッシュの大野さん / 大野寿子 | [A] Across The Universe

メイク・ア・ウィッシュの大野さん / 大野寿子

もし自分の子供が命にかかわる病気にかかって、それでも子供が願いを持っていたらどうする。
親が願いを叶えてあげられる望みとは限らない。

アーティストに会いたい。
旅行がしたい。
野球が見たい。

そんな子供の切実な願いを叶えてくれるのがメイク・ア・ウィッシュという団体。
大野さんはその団体の事務局長をなさっている。



美緒ちゃんは小学6年生。

自分の絵本を作るのが夢だ。

題名は「いちばん大切なもの」

いつももめごとばかり起こす、森の動物仲間6人がお宝を求めて旅に出る話。

4月。

その時点で、大野さんは担当医の先生から残された時間が短いことを告げられる。
大野さんはプロの絵本画家依頼し、出来るだけ早く絵本を完成させようとする。

絵については病室で美緒ちゃんと相談し、美緒ちゃんのアイデアが採用されていた。
また、美緒ちゃんは同じ病気で闘っている子たちに元気を出して欲しい、と作った絵本をプレゼントすることも提案していた。

絵本完成を前にした6月のある日、美緒ちゃんのお母さんから大野さんに連絡が入る。

「もうあまり良くないんです」

その日は日曜日だった。
次の日の月曜日が納品の予定だった。

一部でもいいから完成した絵本を美緒ちゃんに見せたい。

手当り次第に電話をかけて糸口を探す。

しかし、この日は日曜日。

工場が休みではどうにもならない。



そこへ電話が一本。

お母さんからの悲しい知らせだった。

たった一日。

間に合わなかった。


翌日、大野さんは出来上がった絵本を持って美緒ちゃんに会いに行く。

病気の子供達にプレゼントする絵本につけるしおりには、美緒ちゃんの言葉が印刷されていた。

美緒ちゃんは、こんな言葉を書いていた。




つらいのは きみひとりじゃないよ

みんなでいっしょに がんばっていこうよ

てをつないで さあ

みんなでけんこう そだてよう


清水美緒





命の炎が燃え尽きようとしているときでも、

美緒ちゃんは「つらいのは きみだけじゃないよ」病気と闘うみんなを励ましていた。




そして、絵本となった「一番大切なもの」の物語。


旅に出た、もめごとばかりの6人組は、最後にお宝を見つける。

しかし、お宝の中身は空っぽだった。

そこでみんなが気づく。

僕たちの友情こそが宝物なんだ。



夢をかなえることが明日を生きる力につながる。
そんな素晴らしい活動をされているメイク・ア・ウィッシュの方々を陰ながら応援していきたい。





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大野 寿子
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