1/4の奇跡 | [A] Across The Universe

1/4の奇跡

昨日は、虎ノ門で開催された「1/4の奇跡」という映画を家族で見てきた。
主催してくださったのは、10代の子供を応援するNPO法人SEEで、映画の主役の山元加津子先生、監督の入江富美子さんもいらっしゃっており、妻は監督の著書にサインをもらって喜んでいた。
会場には親野智可等先生もいらっしゃっていた。

映画を見て心の芯からあったかい気持ちになり、そして実際に山元先生(かっこちゃん)のほんわかしたお話を伺い、帰りの電車も、そして寝るまで、家族全員が柔らかな暖かい気持ちに包まれた。


映画の内容は、金沢で養護教諭をしているかっこちゃんとその仲間のドキュメンタリー。
かっこちゃんは子供たちと触れ合う日々の中で、彼らの素晴らしさ、偉大さに気づいていく。
映画は、その一部をあるがままに抜き出して、私たちに見せてくれる。
そして、その素晴らしさは私たちの心にストレートにぶつかってくる。
詩人のだいちゃん、盲目のアスリート稲葉さん、その他たくさんの素晴らしい方々が登場される。
観覧している皆さんが、すすり上げる声がずっと続いていた。

私が声を上げて泣きそうになって困ったのが、かっこちゃんと雪絵ちゃんとのお話。



雪絵ちゃんはMSという名前の病気を持っていた(MS,別名多発性硬化症)。
訓練をしている間に、だんだん見えるようになったり、動くようになったりするが、発熱する前のところまで回復するというのは難しく、だんだん見えなくなったり、だんだん動かなくなっていく。

雪絵ちゃんは12月28日生まれ、雪の降ったきれいな朝に生まれた。
だから雪絵。

雪絵ちゃんは口癖のように「私はMSであることを後悔しないよ」と言っていた。

「どうして?」と聞くと、

「だってね、MSになったからこそ気がつけたことがいっぱいあるよ。もしMSでなかったらその素敵なことに気がつけなかったと思う。」と雪絵ちゃんは言う。

「そしてね、MSになったからこそ出会えた大好きな人が周りにいっぱいいるよ。かっこちゃんにも会えたしね。もしMSでなかったら違う素敵な人に会えたかもしれないけれど、私は今周りにいる人に会いたかった、かっこちゃんに会いたかったから、これでよかったよ。目が見えなくなっても、手や足が動かなくなっても、息をするときに、人工呼吸器をつけなくてはならなくなっても、私はMSであることを決して後悔しない。MSの雪絵を丸ごと愛しているって。」


そして雪絵ちゃんは、こんな詩を書いた。


ありがとう

ありがとう、
私決めていることがあるの。
この目が物をうつさなくなったら目に、
そしてこの足が動かなくなったら、足に
「ありがとう」って言おうって決めているの。
今まで見えにくい目が一生懸命見よう、見ようとしてくれて、
私を喜ばせてくれたんだもん。
いっぱいいろんな物素敵な物見せてくれた。
夜の道も暗いのにがんばってくれた。
足もそう。
私のために信じられないほど歩いてくれた。
一緒にいっぱいいろんなところへ行った。
私を一日でも長く、喜ばせようとして目も足もがんばってくれた。
なのに、見えなくなったり、歩けなくなったとき
「なんでよー」なんて言ってはあんまりだと思う。
今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。
だからちゃんと「ありがとう」って言うの。
大好きな目、足だからこんなに弱いけど大好きだから
「ありがとう。もういいよ。休もうね」って言ってあげるの。
たぶんだれよりもうーんと疲れていると思うので……。



その後、雪絵ちゃんは全てに感謝しながら、12月になくなってしまう。

しばらく、打ちひしがれ、放心状態となっていたかっこちゃんは、ある日突然雪絵ちゃんとの約束を思い出す。
それが「1/4の奇跡」という映画の題名につながっていく。


長くなるので、ほんのさわりの部分だけだが、お近くで試写会がある、と耳にされた方は、お時間が許せば、是非ご覧になっていただきたい。
そして、また誰かにこの真実を伝えていただきたいと、切に願う。


私はしばらく、かっこちゃんの世界から抜け出せそうにない。