本能の力 / 戸塚宏 | [A] Across The Universe

本能の力 / 戸塚宏

戸塚ヨットスクール。

練習中に生徒が亡くなる事故が起こり、戸塚宏は有罪となり刑期を全うして再びヨットスクールで指導を行っている。
その著者が「体罰は善である」という信念のもとに書き上げた本。
今この瞬間にもヨットスクールにで学んでいる生徒がいる。
ヨットスクールに子どもを託す親が多数いる。

体罰礼賛。
いじめ礼賛。
そして、体罰を肯定するためのロジック。

「体罰とは、相手の進歩を目的とした有形力の行使、力の行使である」

ヨットスクールで学ぶ生徒は、確かにある程度のレベルを超越し、通常の手段では更正不可能な生徒が集まっているのかもしれない。
(現在では行っていないにしろ)それを、力でねじ伏せる教育を理解できない。。

力への恐怖に従ったとき、
後に自分が力を保持した場合、同じロジックで力を行使することはないのだろうか。
確かに、戸塚ヨットスクールで「力に従う」ように更正した者は多数いるだろう。
彼らが、社会で主体性を持ちその後も生活を送ることが出来ているのだろうか。
外に露出する敵意を、ヨットスクールの中でで「理」ではなく「力」で矯正されたとして、その内に秘めた敵意が自分を傷つけてはいないのだろうか。


ヨットスクールに頼る前に、毎晩子どもの目を見て抱きしめてあげることが一番重要である。





戸塚 宏
本能の力