梨木香歩 | [A] Across The Universe

梨木香歩



著者: 梨木 香歩
タイトル: 西の魔女が死んだ



また気になる作家と出会ってしまった。
梨木香歩。

先月、いつものごとく本屋をブラついていると、文庫本コーナーに「新潮文庫読者アンケート第1位」の赤い帯。「西の魔女が死んだ 梨木香歩」ん、梨木香歩?知らない作家だけど、1位になるくらいだから読んでみようかと軽い気持ちで他の新書などと一緒に買ってみた。それでもあまり興味がなかったので読むのが後回しになってしまう。やっと今月に入ってから通勤電車の中で読み始めた。淡々とストーリーは展開する。これといって読者をひきつけるイベントがあるわけでもない。薄い小説なので帰りの電車で読み終わりそうな最後の2ページ程。

見事にヤラれた。
電車の中で立ったままジンワリしてしまった。何と言えば良いのだろう、心の柔らかいところを、ギュッと掴まれるのではなく、優しくさすられるような感覚。読後感は非常に爽やか。
早速次の日、新潮文庫の「裏庭」「からくりからくさ」「りかさん」「エンジェル エンジェル エンジェル」を購入し、次から次へと読み進む。

なんで今まで梨木香歩を知らなかったんだろう。
この人はすごい。

ファンタジーなのだが、読者を試すかのような抽象性。それでいて、心の柔らかいところを刺激するストーリー。綺麗な言葉。何度も読み返したくなる作品ばかりである。