治らないと思っていると

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 先日、Aさんの友達のBさんが、Aさんに相談に来て、たまたま私もそこに居合わせてしまい、一緒にBさんの悩み相談を聞きました。
 
 Bさんは60代の女性で、30代の息子さんが4年前から引きこもり状態なのだそうです。それで、保健所とか、市役所とかに色々相談に行っていたのだけれど、それが息子さんにばれてしまい、息子さんにBさんが殴られてしまったそうです。
 
 Bさんの息子さんは精神科クリニックに通院中だけど、Bさんは息子さんの病名を覚えておらず、息子さんの薬が何なのかも知らず、薬を飲んでいるのかどうかも知らず、通院が続いているかどうかも知らないと、そして、「精神科に行っててもどうせ治らないでしょ」と言うのです。
 
 そして、殴られてしまったことに関して、市役所や保健所の相談員に、「お母さんが動きすぎて刺激を与えてしまったのかも? そっとしておいた方が良い」と言われたそうです。
 なんて相談なんでしょうか?
 
 病名もわからない、薬もわからない、通院してるかどうかわからないお母さんが動きすぎって?  私からしたら、動かなさすぎ。
 
 クリニックの先生にお母さんが会って話を聞くことから始めないと何ともならないんじゃないかと思うのですが。。。先生に家族が会うと保険がきかないからもったいなく感じるそうです。
 専門家に相談するわけですから、お金がかかって当然と割り切って話し合わないとだめだと思うんですけどね。
 
 でも、こういう行動も、「どうせ精神科にかかっても治らない」と思っているからなんだろうな。と思いました。
 
 はじめは適応障害だと思って聞いてたけど、話していくうち、双極性障害だろうな。というエピソードが出てきたので、もし双極性障害ならお薬で良くなるだろうに、もったいない。
 
 一応、双極性障害のプリントを渡しておきました。
 
 希望をもって患者さんも家族さんも治療に望まないと、良くなるものも良くならないように思います。 希望をもってほしいですね。
 
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DUPを短くするには?

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 「とある精神科医の日常」という題のブログを見つけました。

 

 そこにあったのが、DUPという言葉。

 かいつまんで紹介。

 DUPは精神的変調が見られてから治療開始までの期間のことだそうです。

 

 そして、当たり前ですが、DUPが短いほど症状が軽く社会機能も良いことがわかっています。

 そしてDUPが3か月を超えると治療経過は悪化します。

 

 日本のDUPの平均は13.7か月だそうです。一年超えてる。。。

 

 偏見があって受診が遅れ、受診が遅れたため治療が遅れ、治癒率も低下し、精神病は治らないという間違った情報が流れ、余計に偏見が強くなり受診が遅れる。という悪循環に陥っていますね。日本は。

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自分のこととして考える事

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 ブログ長らくお休みしていましたが、覗きに来ていただきありがとうございます。

 先日、大阪府の門真市でとても残忍な殺人事件がありました。ちゃんと戸締りしていたのにバーナーで窓を割り、寝ている男性をめった刺しにして殺害。
 ニュースによると犯人は統合失調症で通院中だったとのこと。
 亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 精神病だった兄を持つものとして、いろいろ考えさせられるニュースでした。
 一番に思うのは精神科通院中だったのなら、どうして未然に防げなかったのか?という事
 真面目に服薬できていなかったのか、主治医が病状をちゃんと把握できていなかったのか、色んな疑問があります。こういったところはなかなか明るみに出ないですが、よく調べて今後同じことが起きないようにしてもらいたいと思います。

 この事件のことが友達と話題になりました。
 精神病の可能性があれば、殺人を犯しても精神鑑定をして責任能力を調べて刑事責任を問われない事があるが、精神病の人でも殺人を犯したら罰せられるべきだと思う。と友達。
 私も、いくら精神病で妄想に突き動かされたとしても、殺人まで行くのは特別だと思うし、真面目に治療を受けている精神病の人たちが同じような目で見られないように、殺人を犯した人は罰してもらいたいと思います。

 でも、気になるのは友人が他人事としてこの話をしている点です。それで、意地悪な質問をしてみました。
 突然誰かに襲われて、それで自己防衛として暴力をふるったところ相手を死なせてしまった。でも、実は誰かに襲われたというのが妄想だったとしたらどう? 罰を受ける覚悟はあるの?
 友達はびっくりした様子で、ちょっと考えてから、罰を受ける。と答えました。

 それから、私の体験したことを話ました。
 「『殺したい、殺したい、誰かを殺したら楽になりそうな気がする』と兄がいうんですが、大丈夫ですか? 」と20年前、K先生に聞いたことがある。そしたら、先生が
 「大丈夫、殺したいと思っても、どこかでそれはしたらあかん。と思ってるから、殺したりしないよ」と言ってくれました。
 その話をしたら、友人は
 「大事に愛情かけて育てたのだから、たとえ精神病になっても、人を殺したらあかん。ってことは残っていると信じたい。」と、それまで他人事のように話ていたことが、自分のこととして話してくれました。とてもつらそうな顔をしていました。

 私の親は愛情をかけて育てたのに、妄想によって殺す対象として見られてしまいました。それはどれほどつらいことだったのだろう。と思います。

 そして、精神病者は怖くないと患者や患者家族は言いたいけど、治療せずにいれば危険なことがあるのも事実。だからこそ、早く治療につながるように、啓発したいと思います。

 20年前は危なかった兄も精神科で治療を受け、今ではすっかり妄想は消えて、また仲良し家族に戻りました。
 今回の犯人も殺人を犯す前に助けられなかったのか?と、とても残念に思います。
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 精神病になった人は「よほど辛い事があったんだね。」みたいに言われることが良くあると思う。
 本人もそう思っている場合もあるし、そういう精神疾患だってあるだろう。解離性障害とか、PTSDとか。

 でも、何でもなくても精神病になるかもしれない。と言う事は皆知っておいた方が良いと思う。

 何をしたわけではなくても、風邪引いたり、肺炎になったり、癌が出来たり、しますよね。
 そういった身体の病気だったら、「よほど辛い事があったんだね」なんて言われないですよね。

 考えてみれば脳も体の一部ですよね。脳だけは辛いことが無いと病気にならないと思うとしたら、あまりにものうてんきですよ。

 親の育て方が悪かったから、いじめられたから、仕事が忙しかったから、だから精神病になったんだろうと思うのは単純に考えすぎだと思う。

 そう信じたい気持ちは分かる。何もなくても精神病になるかもしれないと思えばそれは怖いものね。

 だけど、誰だって精神病になる可能性があるって分かってたら、身近な人が精神病になった時にそれほどうろたえなくて良いし、迷走せずに医療に繋げることが出来ると思う。

 もし、何か辛いことがあったに違いないと心理的な面だけで原因を探ろうとしたり、優しくしたら治るかもしれないと、本人の言うままにしたりして、医療に繋げるのが遅れると、それだけ病気を悪くしてしまうかもしれません。
 
 異常な言動の中には脳炎によって引き起こされるものもあります。身体の病気としての見方ができたら、より冷静に状況を見て、判断できるようになると思います。

過去の記事公開してます。

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 一時公開を見合わせていた兄の精神病の記事を公開しました。興味のある方は読んで見てくださいね。このブログの一番最初の記事から始まります。

 ところで。

 先日、和田行男さんの講演会に行ったことを記事に書きましたが、和田さんの講演会で和田さんが「今まで脳が壊れたことある人、手を上げて」と言われたんですね。
 で、誰も手を上げなかったんですが。

 「全国で講演会をしてきて、いつもこの質問をしているけど、今までで3人だけ手を上げてくれました」と。
 「1人はくも膜下出血、もう2人は脳梗塞だった。」と言ってました。

 それでふと疑問に思ったんですね。皆さん疑問に思いませんか?

 世の中「うつ病」の人がとても増えていると言われてます。それが本当かどうか別にして、自分はうつ病だと、うつ病だったと思っている人は結構な人数いると思うんですよね。だけど、「脳が壊れたことある人」って聞かれたら手を上げないんですよね?

 偏見がありますから。スティグマの問題で手を上げないのかもしれませんが。。。

 私が思うに、自分がうつ病だと思っている人はうつ病が脳の病気だとは思って無いんじゃないかな?と思ったんです。
 心は病んだけど脳は病んでない。とでも思っているのかな?と。

 私は精神病は脳の病気だと思っているので、うつ病も含め、精神病になったのなら脳が壊れた事がある人だと思うんですよね。表現は悪いですが。

 心の病と言われると、何か精神病になったのは心が弱いからだとか、何か特別にショックなことがあったからだとか、周りの環境が悪くて心に傷がついたのだとか、そういう風に捉えられているような気がして、私はとてもいやなんですよね。
 精神病は脳の病気と言われるほうがしっくり来るんです。

 だから、和田さんが上記の質問をした時に思わず手を上げそうになったんですが、残念ながら私は精神病になったことがなかったので、あげれませんでした。

 手を上げて「統合失調症でした!」と言ったら和田さんどう返事してくれるんだろうな?