久しぶりに、森達也さんの話題を。
森達也さんは、最近、Facebookを始めた。
森さんがTwitterを一昨年あたりから始めたことは私も知っていたが、今年からはいよいよFacebookにも表現の場を広げられたわけだ。
正確に言うと、Twitterはもっと以前から森さんの名義のアカウントがあるにはあったが、森さんの信頼する代理の人がもっぱらつぶやいていて、森さん自身がつぶやくことはめったになかったらしい。
ちなみにその代理の人とは、森さんの奥さんであった。奥さんから叱咤されて、Twitterをシブシブご自分でやるようになったのだとか。
ところが、いざやってみたら、すっかりハマってしまったらしく、今ではガンガンご自分でつぶやいていらっしゃるようだ。
(以上のことは、森さんが連載している月刊誌『創』で読んだことを、記憶に基づいて書きました。したがって、もしも事実と違っていたなら、その責任はじろう丸にあります。)
さて、森さんのそのFacebookを見て知ったのだが、森さんはこの度、マンガの原作に初挑戦するのだそうだ。
といっても、雑誌社から依頼されたのではなく、竹熊健太郎さんという人が運営している「電脳マヴォ」なるWEBマガジンからの依頼なのである。
竹熊健太郎さんといえば、私などは'80年代の終わりごろに相原コージさんとのコンビで発表された『サルでも描けるまんが教室』を思い出す。
『サルでも描けるまんが教室』(略して『サルまん』)は、一応、竹熊さんが原作、相原さんが作画担当となっていたが、部分的には竹熊さんが絵を描いた箇所もあったようだ。
内容は、一応は漫画の描き方を読者に指南するというものなのだが、作画担当の相原さんの絵が本当に下手だったために、かえってそれが絶妙な“味”を作品に与えていた。
さて、気になる森さんが原作を手がける作品のテーマは、「死刑」である。
月刊誌『創』5・6月合併号掲載の森さんの『極私的メディア論』で、森さんがマンガ原作をやることになった経緯が説明されている。
それによれば、2年前に竹熊さんから死刑制度をテーマにしたマンガの原作をやってみないかと打診されたのがきっかけだったそうな。
実は森さんがマンガの原作を打診されたのは、これが初めてではない。以前にも2回ほど大手出版社のコミック担当編集者から打診されたことがあり、作画担当予定の漫画家さんと編集者さんと3人で打ち合わせまでやったことがあった。
しかし、そのときは2回とも実現しなかった。
だが今回はとにかく引き受けて、執筆を開始した。そして、この度ようやく形になりつつあるという。
森さんといえば、死刑制度に反対していることで知られているが、どうやら竹熊さんもそうであるらしい。
作画を担当するのは、伊原達矢さん。日本だけでなくイタリアでも漫画家として知られていて、実際にイタリアの学校で漫画を教えているそうだ。
ちなみにイタリアでは、死刑制度は1948年に廃止を規定、2007年に全廃されている。
森さんが脚本形式で書いた原作の原稿をメールで伊原さんに送り、伊原さんがそれをもとにネーム(下描き)を作成して、それを森さんに送り返す。
森さんは初めてそのネームを見たとき、そこに描かれたキャラクターたちが、自分が考えた台詞を話したりして動いているのに、映画とはまた違う興奮を覚えたという。
竹熊さんはこのマンガを完成させるために、4月からクラウドファンディングを実施するとのことだが、これはどういうことなのか、今の時点では分からない。
最近は漫画を描くのはパソコンを使うのが主流になってきているが、それでも最低でも画稿用紙とペンとインクがあれば、とりあえずは描ける。
だから何故クラウドファンディングをやるのか、どうも分からないのだ。
ともあれ、この作品(タイトルは未公表)は、映画でいうなら、森さんは脚本家、伊原さんが監督、そして竹熊さんがプロデューサーということになる。
プロデューサー・竹熊さんは、この作品を通常とは違った形で世に問おうと考えており、そのためにお金が必要で、それ故のクラウドファンディングなのだろうか。
ちなみに、現在出来上がっているネームの一部は、以下のサイトで見ることができます。↓
https://www.mavo.co.jp/20190402cf/?fbclid=IwAR2jsQ-Z_tZdwsCHoP8-FDzaVBrLh8Uwe3iHj7-AaWsHfSBjQPgisbrZ0JI
何はともあれ、森達也さん、竹熊健太郎さん、伊原達矢さんのこれからのお仕事に注目、かつ期待したいと思います。
電脳マヴォ合同会社のオフィシャルサイト↓
https://www.mavo.co.jp/