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再愛 5

二人は無事、税関にも声かけられずに、乗客を待っている場所に着いた。

そこはタイ人で溢れかえっていた。

タイ人は家族が仲良しで家族の誰かが海外旅行に行くと家族全員で見送ったり、迎えたりする。

また、時々、日本人や西洋人の男性をタイ人女性が一人で迎えに来ていることがある。

それは間違いなく、その男性のタイでの現地妻である。


隆弘がその場所に着くと、

゛タカイサン、サワディカップ゛と一人のタイ人に声かけられた。

゛おお、プラシット。サワディカップ。また、よろしくね。゛

そう、そのタイ人は高井が前に雇っていたドライバーである。

゛プラシット、ちょっと待っていてな。゛

゛カップ(はい。)゛と言って隆弘のカバンを持った。


「ユキリン、先輩は来てる!?」

「いや、まだみたいです。」

「そっかあ。じゃあ、一緒に待ってあげる。」

「えっ、いいんですか!? 良かった。すいません。」

「いいよ。今日はホテルで寝るだけやから。恐らく、渋滞やと思うよ。」

「そんなにバンコクって渋滞がひどいんですか!?」

「うん、ユキリンもそのうちわかるよ」

そんな話をしているうちに、ユキリンの先輩の香川信子がやって来た。

「ユキリン、ごめん、ごめん。渋滞で。」

香川信子の言い訳でユキリンと隆弘は顔を見合せ笑った。

「あっ、信子先輩、こちらはタルーンパパ。ブログ友達なの。話が長くなるからまた、後で。」

「僕はタルーンパパこと高井隆弘です。信子さん、車は?」

「車はなく、バスで来ました。」

「じゃあ、僕、車あるんで、バンコクまで送りますよ。バンコクのどこ?」

「スクンビット15です。」

「じゃあ、近くや、僕はスクンビット31やから」

隆弘はドライバーのプラシットを呼び、ユキリンの荷物を持たせ、駐車場に案内させた。


続く