「いらっしゃいませ！何名様ですか？」
このファミレスでバイトを初めて、もうすぐ1ヶ月。
俺のウェイター姿もだいぶ様になってきた。
さほど時給の高くはないこのバイトに目を付けたのは、バイト募集の張り紙に
「賄いあります」
ってあったから。
男子学生の一人暮らしってさ、食生活偏っちゃうじゃん？
1日1食ぐらいはまともなモノを食べたいけれど、自分で作るのはちょっとね。正直…面倒。
「賄いあります」の下には
「おいしいよ。」なんて
子供が描いたみたいな文字と、なんだかよく分からない変なイラストが描いてあって、それがまた結構ツボだったんだよね。
ファミレスといっても、全国チェーンではなくって、個人経営の割とこじんまりしたお店。
オーナーは、サニーさんだかジャニーさんてゆう外人らしいけど、今だに会ったことはない。
お店の事は、店長兼料理長の坂本さんに全て任されているようで、バイトの面接も坂本さん一人だけだった。
「三宅くんは週4でシフト入れるんだな。助かるわー。」
晩ご飯ちゃんと食べれるんだったら、週7でも良いくらいだけど…学校もあるしね。
ちょっと強面だけど、優しい感じで話すから
「賄いって出るんですよね？」
思い切って聞いてみた。
「出るよ。賄いはアイツが作る。」
顎でさされたのは…
茶というよりは金髪のヤンキーっぽい感じの人。
あー...何か俺の一番苦手そうなタイプ。
俺が不安そうな顔したのを見た坂本さんは、
「結構美味いぞ。あいつ俺の弟子だから。」
そう言ってちょっと笑って、面接は終了。
俺はここで働く事になった。
楽しみにしてた賄いはね…
めっちゃ美味いのっ！！
ホントにあいつが作ってんのかと、今だに思ってるけど。きっと師匠がいいんだな！
さてと、今日の賄いは何だろう。
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