私の人間観を大きく変えた本が2冊あります。
1冊目は、高校1年の時に初めて読んだ、フロイトの「精神分析入門」です。
フロイトは、精神医学者・心理学者としてあまりにも有名なので、詳しくは説明しませんが、「無意識」の人間への影響の大きさを最初に強調した人物です。
(詳しくはネットで検索してね)
まず、私が衝撃を受けたのは、「言い間違い」には、無意識の意図が働いている、ということ。
ある司会者が「開会します」と言うべき場面で「閉会します」と言い間違ってしまいました。
普通なら、単なる間違えとして、誰も気にも留めないのですが、フロイトは違います。
実は、ある理由があって彼は本当に早く「閉会」することを望んでいたのです。
しかし、立場上そのようなことを公言することは出来ないので、そのような思いを抑圧します。
で、その、封じ込められた思いは「言い間違い」という形となって噴出したわけです。
このようなエピソードが次から次への出てくるので、単純に面白いのです。
今考えると、「おいおい、それって、こじつけじゃねえの?」というものもありますが、当時は、人間の真実を発見した気になって(発見したのは自分じゃないのに)、夢中になって読みました。
「言い間違い」よりも有名なのは、性的欲望の抑圧です。
今の時代にはそぐわないので、さすがに現在この考えを支持している学者はいないでしょうが、フロイトの時代には、斬新な発想だったようです。
神経症の原因のほとんどが性的欲望の抑圧と考え、精神分析という怪しい響きの手法でもって、抑圧をとき、治療していました。
精神分析。ああ、なんという怪しげな、謎に包まれた響き。
高校生のムーチョは、この「精神分析」という言葉の魔力の虜になり、その後数年間その手の本を読みあさったのでした。
続く。