地中海沿岸が原産地で鮮やかなオレンジ色の花を咲かせる外来植物「ナガミヒナゲシ」。ここ数年で急速に分布が広がっているという。昨年はこの花をモチーフに作品を発表した歌人が短歌の新人賞を受賞。美しい花だが、繁殖力が強く、生態系を乱す恐れがあると指摘する専門家もいる。

 ケシ科の一年草だが、アヘンの成分はない。実が長いことから、この名になった。最初の発見は東京都世田谷区で昭和36年。輸入堆肥(たいひ)に混じって種が入ってきたとの説もある。

 農業環境技術研究所が東京農大と共同で全国の専門家に呼び掛けて分布調査をしたところ、平成19年時点では青森、沖縄の両県を除く全国で確認された。アルカリ性土壌を好むため、都市部に多いのが特徴。道路沿いの植え込み、コンクリートの割れ目から生えている姿も見られる。

 京都府に住む歌人、やすたけまりさんも3~4年前にこの花に気付き、その後に読んだ本でナガミヒナゲシであることを知った。自身も昭和36年生まれ。「たまたま同じ年に同じ国に来たのかと思うと、面白くも切なくも感じた」という。

 以来、関心を持ち昨年は「ナガミヒナゲシ」という30首の連作を発表。短歌研究新人賞を受賞した。その中の1首。

 なつかしい野原はみんなとおくから来たものたちでできていました

 きれいな外来植物の仲間が1つ増えたわけだが、農業環境技術研究所の藤井義晴上席研究員は「駆除が必要」と話す。

 藤井氏によると、1株から100個超の実ができることもあり、1つの実には約1500個の種が入っている。つまり、1個体が15万個以上の種を作ることができ繁殖力は極めて強い。最近の研究で、根などから出る物質は、ほかの植物の生育を阻害する作用が強いことも判明したという。

 藤井氏は「きれいなので庭で観賞する人もいるが、ほかの植物が育ちにくくなる」と指摘。平成12年以降に爆発的に増えているといい「防除しにくい雑草となって、生態系を乱すリスクが高い」と話している。

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