さて、今回は、今年のシンポジウムの素晴らしい講演者・パネリストの方々をご紹介いたします。今年のテーマの「量子医学革命」に最適な4名の方々です。

 パネルディスカッションの進行役をさせていただく私自身、今からこの4名の方の講演、そして、その後のパネルディスカッションが楽しみでなりません。

 

○天外司朗氏(ホロトロピック・ネットワーク代表)

 

 まず、お一人めにご登壇いただく天外伺朗氏については「ホロトロピック・ネットワーク」の主導者として、また「天外塾」の開催などであまりにも高名でいらっしゃり、ホリスティックな方向性ととても合致する活動を続けてこられています。帯津先生とも交流が深く、当協会でも関西支部のシンポジウムにもご登壇いただいております。

 

 ご経歴は、工学博士で、1964年東京工業大学電子工学科卒業後、ソニーに42年間勤務され、CDワークステ―ション「NEWS」、犬型ロボット「AIBO」などの開発を主導、上席常務を経てソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所(㈱)所長兼社長などを歴任されています。

1997年、マハーサマディ研究会(現ホロトロピック・ネットワーク)を主宰、医療改革や教育改革に携わり、瞑想や断食を指導していらっしゃいます。また、企業経営者向けセミナー「天外塾」の塾長も務めていらっしゃいます。

 

 私が、特に関心を持たせていただいておりますのが、「脳・意思・心に挑む物理学」という視点で、脳科学者の茂木健一郎氏と対談されている『意識は科学で解き明かせるか』(ブルーバックス)を拝見したことからです。脳・意識・心に対して、先端物理学・量子物理学の視点から検討している素晴らしい内容でした。

 

 そして、最近では『ここまできたあの世の科学・改訂版』、『般若心経の科学』(いずれも祥伝社黄金文庫)などを世に著されて、啓発・普及に取り組んでいらっしゃいます。

 

 『意識は科学で解き明かせるか』では、あの脳科学者の茂木健一郎氏との対談形式になっており、とても示唆に富む内容になっています。ここで、その一端をご紹介したいと思います。

 

 まず、嬉しいのは、量子力学を語る際に、「シュレディンガー」の「波動方程式」について高い評価をされています。その中でも「波動関数」 が複素数で描かれている点について、そして、波動としてすべての可能性を含んでいたものが観測すると一つの状態だけを選択して他は捨ててしまうという、いわゆる観測問題の主体は波動関数の「収縮」(崩壊)であることなどを、優しく伝えることを意識されていらしゃいながらも、必要な事象についてはきちんと説明されている姿勢です。

 

 そして、天外氏がめざしていらっしゃるのが、「意識の拡大」の話と、「量子力学」の非局所的なものとを結び付けて説明したいということで、その理論として数理物理学者のペンローズの「量子脳理論」に可能性を見出されているのも嬉しいことです。天外氏は、意識を学術的に解明していくために次のようにおっしゃています。

 

 ~「量子力学」と結んでいかなければいけないということは全く間違いのないことで、単純なふつうの物理学、ふつうの科学をいくらひねりまわしても意識の問題にはかすりもしないと思います。

 

○奥健夫氏(滋賀県立大学工学部材料科学科教授)

 

 奥健夫氏は、理系の教授の方です。そして、何と若手研究者の頃から当協会の研究会でご発表して下さっていました。そのテーマがやはり「意識」や「エネルギー」についてです。正統的な工学系のご研究もなさりながら、一方では、第2のライフワーク的な位置づけで『意識情報エネルギー医学』(エンタプライズ)や『成功法則は科学的に証明できるのか?』(総合法令出版)などを現役教授でおられながら勇気をもって出版されていることには頭が下がります。

 

 ご経歴は、東北大学大学院原子核工学専攻修了(工学博士)後、京都大学大学院材料工学専攻・助手、スウェーデン・ルンド大学国立高分解能電子顕微鏡センター・博士研究員、大阪大学産業科学研究所・助教授、英国ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所・客員研究員などを経て、現在に至っていらっしゃいます。

 

 ご著書は、上に挙げました2冊以外にも『夢をかなえる人生と時間の法則』(PHP研究所)、『動かして実感できる三次元原始の世界』(工業調査会)、訳書に『時間の波に乗る19の法則』(サンマーク出版)、『こころの癒し』(出帆新社)などがおありで、専門書から一般書まで幅広く書かれています。

 

 特に、奥氏は、エネルギー医学の原理的な面について、数式も用いてしっかりと論証されている内容は、他の類書では曖昧な記述が多いのと比べますと大変秀逸でいらっしゃると思います。『意識情報エネルギー医学』からその一端を見てみましょう。

 

 まず奥氏は、有名なE=mc2という式について、人間に対応して考えてみると、Eは「人間の全エネルギー」、mc2は「物質のエネルギー」と「光の波動エネルギー」を足したもの、と解説されています。

 

 そして、「意識」についても取り上げていらっしゃいますので、ご紹介します。

 

 「意識研究の3つの大きな流れは、心理学、認知科学、神経科学などです。(中略)しかしこのような研究は、いくら研究が進んでも現象を測定する経験科学なので、意識についての本質的な理解を得ることが難しくなります。

 

 これらとは別に、意識研究の第4の流れとして、量子脳理論(注:天外氏のところでも出てきたペンローズの理論です)という分野があります。脳細胞の原子レベルの構造に基づいて、量子力学の考え方を使いながら、意識とは何だろうということを調べる理論です。」

 

 そして、心身医学や心理療法との関連について、さらにはホリスティック医学にも言及されていますので、ご紹介しましょう。

 

 「心身医学やサイコセラピー(心理療法)では、意識情報から生命エネルギーへの変化が起こって、さらに物質身体への転換が起こります。(中略)

 

 この意識情報のエネルギー変換モデルに、量子脳理論を組み合わせてみましょう。すると意識情報のエネルギーで、脳細胞内にコヒーレントなトンネルフォトンが発生します。そしてそのエネルギー変換により、脳波の発生、ホルモンなど微量伝達物質の合成がおこなわれます。結果としてDNAから身体全体の健康に影響が及んでいくのです。このような形で、意識の医学、スピリチュアル・ヒーリングをベースとした、全人的ホリスティック医療が今後ますます発展していくと期待されています。」

 

 いかがでしょうか、今から当日が楽しみで仕方がありませんね! そして、もうお二人の講演者の方々については、30日にご紹介する予定です!

 

○投稿者:降矢英成(シンポジウム実行委員長、日本ホリスティック医学協会会長)