合理的に考えない人が多いリスク | JetClipper's Bar

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JetClipperが日頃感じている事をblogにしました。

東京生まれですが、沖縄、多摩ニュータウン、横浜、尼崎、川崎を経て、三鷹市民になりました。

常々思うのだが、日本の義務教育ではまともに経済も教えないし、世の中の仕組みも教えないし、科学的事実に基づく消費者教育も、医学の進歩を反映した保健教育もしていない。

故に社会に出ると、何でこの人、こんな事を知らないんだろうか、とか、ベテランで年をくっているのにまともな経済の知識もないんだ、という事を痛感させられる。


非常に簡単な例を出す。


歯磨きは重要。歯磨きで大事なのは歯垢や食べかすを歯と歯茎から除去する事で表面を磨く事ではない。だから大事なのは歯というより歯と歯の間の方。そうしないと確実に歯垢が歯石になり、歯肉に炎症を起こし、歯周病の原因になる。漫然と歯磨きをするのではなく、どこをどう磨くか、どの角度で歯ブラシを当てるかという事は非常に大事な事だ。

大体学校で教えるのは歯磨きをすれば虫歯が防げる、という程度の教育だろう。大事なのは歯磨きをするということではなく、歯垢を残さない、食べかすも残さない、という事にある。その部分をきちんと教えないと意味がない。

そうなるとデンタルフロスや歯間ブラシ、歯垢を溶かすうがい液を併用する事は良い事だし、逆に爪楊枝だけでは不足である事も分かるはずだ。


仮に歯石になってしまったら、早めに除去する事が大事。だから定期的に歯科に行き、歯の点検をしてもらった方がいい。保健治療だから金額も高が知れている。短期間で終わらせたいと伝えれば、数回の通院で全ての歯が綺麗になる。私の場合、歯石化しているのは表面の歯と歯の間数箇所だけ。これは歯ブラシの角度を変えることで殆んど防ぐ事が出来るそうだ。

定期的に歯石除去をしないといけない人は歯ブラシの使い方が間違っているという事になる。適切に歯ブラシを使って、他のものも併用すれば歯石が残るという事はまずない。


もしこれを放置すると虫歯が進行、気がついたらブリッジや差し歯、インプラント等の治療が必要になる。インプラント以外は保健治療になるがそれなりの金額が取られる。その割りにメンテナンスが大変だ。でもインプラントをしても通院は長いし、費用も一本で30万以上する。


この事から考えると、日頃の歯磨きを怠るだけで、将来多額の出費と時間の無駄が発生する事が分かるはずだ。となれば普通は歯磨きのあり方を改善して予防する方が正しいはずだ。


ところが世の中には合理的な思考をしない人がいる。

目先の歯医者に払うお金がもったいないと放置しておくと確実に歯周病が広がり、もっと高い、もっと頻度を増やした状態で治療に行かなければ行けない。そうなると本人の経済的・精神的苦痛は大変なものになる。

だったら、目先の歯科医に払う金を惜しまず、健康でいる方がずっと合理的な行動。


ところが世の中には様々な理由をつけてそういう合理的行動をしないという事を正当化する人たちがいる。

そういう人は単に頑固とかめんどくさがりというだけならばまし。そもそも結果的に大金が必要になるという事を知らない人も数多くいる。


さて、話を大きなものに戻す。

市場経済は長期的にみれば最終的に合理的な価格に収斂することが分かっている。

ところが情報の非対称性や感情で動く人々の存在で短期的には非常に歪みが発生しやすい。その歪みがあるからこそ市場は成り立つ。でもその歪みは短期的でしかない。長期的に収斂することが分かっていれば必ず裁定取引が発生して最終的に落ち着くところに落ち着く。


合理的に考えない人が増えるとこうした市場の歪みは大きくなる。

もっと言うと、合理的に考えない人が増える事で詐欺等の犯罪者の成功率が高まる。円天なんて冷静に考えればあり得ないシステムだった。私はこの被害者を足蹴にするつもりはないけど、積極的に救済する必要は感じない。


若い人は教育の不備の責任が多いと思うが、中高齢者はどうか。

私は中高齢者の方が問題が根深いと思う。

結局昔の成功体験や昔学んだ事を捨てる事が出来ない。捨てられないから合理的にみえる言い訳だけは完璧に作り上げる。また立場的に聞く必要すらない事も多い。

でも今までの経験が生かせない時代になっているという現実を考えれば年寄りの知恵が正しいとは言い切れない。しかも社会から隔絶してしまった人たちは、うわさの方を信じてしまう。その結果が現状ではないだろうか。


冷静に合理的に考える人が増えれば、介護も医療も楽になるはず。寝たきりにならないようにすればいいし、回復する見込みがないのに望みがあると信じて無駄な医療をする事もなくなるだろう。それで費用が浮けば必要なところに少ない国家予算を投入できる。


教育を根本から変えても多分まともに機能するには40年はかかるだろう。でもやらないよりはましだと思う。

中高齢者にはこうしたテスト問題を出して回答できないと年金減額というくらいのハードルを作った方が良いのではないかとも正直思う。