
クリスマスムード漂う歓楽街に響き渡る怒号。
「お前よォ・・・今日までに払うって言ってたよな?」
とある店先で、女に詰め寄るスーツ姿の男。
「あ゙ぁ?間に合わなかったじゃねぇだろ!散々豪遊して楽しんだんだ。払うモン払ってもらわねぇと、コッチも困んだよ!」
泣きながらすがりつく女に、男は冷たく言い放った。
「バカじゃねぇの?ホストなんて、客呼んでナンボの商売なんだよ。いい金蔓になると思ったから相手してやってたけどよ・・・金のねぇお前なんかに用はねぇよ。」
女を突き飛ばすと、蔑む様に見下ろした。
「その辺にしとくぜよ。」
そんな2人の様子を近くで見ていた1人の男が、声をかける。
「誰だ、テメェ。関係ねぇ奴はひっこんでろ!」
夜だと言うのにサングラスをかけていて、その素顔を見る事は出来ない。
へたり込んでしまった女を一瞥すると、男の方へと視線を戻した。
「・・・いくらじゃ?」
「は?」
「このお姉ちゃんの未収は、いくらじゃと聞いちょるんじゃ。」
伝票を受け取り眺めると、フッと鼻で笑う。
「こげな額でガタガタと。小さか男じゃのう。」
「んだと!」
「ホレ。コレでええじゃろ。」
懐から札の束を取り出すと、目の前でバラバラと散らす。
「オ、オイ!」
それを慌てて拾い集める男を尻目に、呆然と事を眺めていた女に手を差し出した。
「ホストは顔だけで決めたらいかんぜよ。器の大きさもよう見らんと・・・のう?」
女がその手を掴むと、目に溜まった涙をスッと拭った。
「綺麗な顔が台無しじゃ。ワシについてきぃ。」
そう言われて女が連れてこられたのは、1件のホストクラブ。
店内はクリスマスイベントの真っ最中で、たくさんの客で賑わっていた。
そんな中を、手を引かれたまま奥へ奥へと進んでいく。
途中、色んな客から声をかけられた男は、愛想よく笑顔を振りまいていた。
フロアの奥は他の場所よりも薄暗く、更には黒いカーテンで閉ざされていて、その向こうに何があるのかを窺い知る事は出来ない。
戸惑う女を余所に、男はそのカーテンの中へと進んでいく。
そして、目の前に現れた扉を押し開けた。
扉の向こうはホテルのフロントの様な造りとなっていて、暗闇に目が慣れていた女は、照明の明るさに少しだけ顔を顰める。
その様子を笑いながら見ていた男は、さり気ないエスコートでエレベーターへと導くと、最上階のボタンを押した。
チンと言う音と共にドアが開き、フロアへと下り立つ。
店内も、扉のコチラ側も十分にお洒落で高級感のある場所ではあったが・・・
最上階は、また格別な雰囲気を醸し出している。
「ココじゃ。」
角の部屋の前に立つと、鍵を取り出して扉を開ける。
怖ず怖ずと部屋に足を踏み入れてみれば、壁の半分を占めるほどの大きな窓からは、眼下に煌めく夜景が一望できた。
促されるままにソファーへと腰を下ろすと、男は部屋の奥へと向かった。
座り心地のよすぎるソファーは、何だか逆に落ち着かず・・・部屋の中をキョロキョロと見回す女に、シャンパン片手に戻ってきた男は、グラスを差し出した。
手際よくコルクを抜きシャンパンを注ぐ姿を見ていると、男がホストであると言う事を実感する。
「乾杯、じゃ。」
グラスが綺麗な音を響かせた。
流れるような仕草でグラスを口に運ぶ様を、つい目で追ってしまう。
すると、シャンパンを飲み干した男が、空のグラスを静かに置きコチラへと向き直った。
「・・・で、金の話じゃが。」
目を伏せた女を見て、男は笑った。
「はは!別に今すぐにとは言わんき。しばらく待ってやらん事もない・・・・・・が。躰で払うっちゅう方法もあるぜよ?」
先程までの笑顔とは一変・・・ニヤリと笑う顔には色気と妖しさが漂う。
「どっちを選ぶ・・・かの?」
普通に考えれば、そんな誘いに乗る訳はない。
「お姉ちゃんならタイプじゃき、高う評価するつもりなんじゃが。」
伸びてきた長い指が髪に触れ、ビクリと躰が反応する。
「・・・ま、夜はまだまだ長いきに、ゆっくり考えちょってくれてかまわんぜよ。」
そう言って、ゆっくりとサングラスを外す。
今まで視界を遮ってきた物がなくなり、ようやくまみえた素顔。
それは、想像以上の眼力を携えており、絡まった視線の糸を解く事は容易ではない。
「・・・何じゃ?ワシの顔になんぞ付いちゅうがか?」
グイと近づけられた顔に、頬が熱くなるのを感じる。
「さっきからボーっとして・・・もう酔ってしもうたんかの?」
吐息がかかるほどの距離で見つめ合えば、瞬きする事すら儘ならない。
男はフッと笑うと、フワリと口唇を重ねた。
酒気の混じった、甘い甘いキスの味。
理性さえ飛ばされそうなそのキスは、深く女を陶酔させた。
逞しい腕を枕に、未だ夢見心地で見上げた男の顔はとても優しく・・・
女がそれに惹かれるのに、そう時間はかからなかった。
「ん?金なんぞ返さんでも、おまんがワシのモンになってくれるなら、ええと・・・」
既に術中にハマっている事など、女が気付くはずもなく・・・
「・・・そうか。おまんがそこまで言うなら、一応返してもらう事にしておこうかの。」
男の思惑通りに事は進んでいく。
「あぁ・・・でも、急がんでも・・・」
女はまるで操られた様に・・・
「いや、確かにそう言う知り合いはおるが・・・」
男の望む言葉を発す。
「ワシはおまんに、そげな仕事して欲しゅうないき・・・」
掌で踊る女を見て
「・・・・・・わかった。後で連絡しとくぜよ。」
男は静かにほくそ笑んだ。
「おまんは綺麗じゃき、きっとすぐに稼げるようになるぜよ。したらば、そんな仕事すぐに辞めて・・・ワシだけのモンになってくれ。」
数日後。
男は、ホテル街へと足を運んでいた。
目的は、女に紹介した働き口の様子を見に行く為。
その店の経営者とは長い付き合いで、たまに顔を出しては一緒に遊びに行くような仲だった。
「よぉ。どうじゃ?あの女は。」
「おぉ、タツマか。初日から、かなりいい稼ぎっぷりじゃのう。」
「そうか。使いモンになってよかったぜよ。」
「・・・ったく、お前は。よくもまぁ、これだけ上玉の女ばっかり連れてくるもんじゃ。」
「友達の店ば繁盛させたいっちゅう、ワシの想いじゃき。」
「そりゃありがたいのう。・・・じゃが、いつか刺されても知らんけぇの。」
「あはははは!まぁ、存分に使ってくれや。・・・っと、呼び出しじゃ。」
「まーた何かやらかしたんか?」
「さぁ・・・どうじゃったかの?ま、また来るぜよ。」
「オーナーさんによろしくのう。」
店に戻ると、オーナーの待つ部屋へと向かう。
軽くノックの後、少しの沈黙。
だが、それにはかまわず男は扉を開けた。
「お呼びですか?代表。」
仰々しく会釈をすると、「代表」と呼ばれた女は軽く溜息をついた。
「『お呼びですか?』じゃないでしょ。また、他の店から苦情が来てるんだけど?」
「僕は苦情を言われる様な真似をした覚えはありませんが?」
「『CLUB Just do Itのタツマに客を取られた』・・・もう、何度目?」
「代表。それは、客を取られる店が悪い。・・・そう思いませんか?」
「そう言う行為が御法度だって事、何度も教えたと思ったんだけど?」
「第一、未収を払ってやったんですから、文句を言われる筋合いはないはずですが。」
「・・・・・・はぁ。まぁ、今回は大目に見るけど・・・次はないからね。」
「それはどうも。」
「・・・で?首尾の方は?」
「ははは!ワシを誰じゃと思うちょるんじゃ?」
「ちゃんと引っ張れるんでしょうね?」
「もちろん。・・・試してみるがか?」
「試すって・・・それ、教えたの誰だと思ってんの?」
「あはははは!それもそうじゃの!」

今日もまた一匹・・・可愛い兎は・・・魔法使いの呪いにかけられる・・・

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― あとがき ―
新規開店が6月。
それなのに、12月現在、まだ2作目。
ナニこの、体たらくwwwwww
お待ちしてくださってた方がいるのかわかりませんが、お待たせいたしましたw←
いや。
言い訳させてもらうと、コレ画像も作らなきゃいけないから、結構時間かかるんだよ?w
てか、画像自体は簡単なんだけど、入れる言葉を考えるのが大変。
だから、ついつい後回しになっちゃうorz
そして、会話文ばかりで小説を構成してる自分にとっては、相手が喋らない事がめがっさキツイorz
だから、今の今まで書く機会がなかったのだと・・・
そう言う事にしておいてください。←
えー・・・で。
今回、イベント用に1つくらい書きたいなぁと言う願望が元々ありまして。
ネタ帳に、色々とネタを書き込んでたりしてた訳なんですけども。
どう足掻いても、クリスマスが全然係わってこない!←
ほんと、「別にクリスマスじゃなくていいじゃん」ってネタばっかりになりましてw
色々と悩んでたんですが、結局時間もなかったりなんやかんやで、クリスマス“風味”っぽい感じにしてみましたw
大丈夫大丈夫。
クリスマスって言っときゃクリスマスな雰囲気になるから。←オイ
今回の主役は、快援隊社長 坂本辰馬・・・ではなく。
【CLUB】 Just do It の“タツマ”でございますw
何でタツマを選んだか・・・は、言わずもがな俺の嫁だかr(ry
・・・ってのもあるんですが。←
実は、一番ネタが揃ってたのがタツマだったってのが一番の理由ですw
一番ドSなホストにしてやろうと思って、アレコレ鬼畜そうな事を考えてたら、ポンポン浮かんできたんですよねwww
ただ、文字で書いちゃうとかなりあっさりしたなぁ・・・と。
その辺は、自分の力量不足ですorz
わかりにくかったかもしれませんが、タツマが拾った(←)女の子は、風俗店で働かされてます。
・・・いや、働かされてるって言うか、自分から望んで行ったんだけどもwww
「・・・何で?何でそう言う展開になるの?」・・・って思いました?w
要は、アレですw
尽くしてくれる(貢いでくれる)女を、タツマは目敏くみつけてくるんですwww
優しくして、惚れさせて。
虜になればコッチのモン。
まぁ、ほぼ百発百中かと思われますがw
しかも、上玉の女の子ばっかりだから、めちゃめちゃ稼いでくれる。
なので、タツマは滅多に店に来ません。
働かなくても、女の子たちが色々してくれるしw
駒の数は半端ないですよwww
もともと金持ちでもあるんだけどねw
そんなタツマが、女の子に紹介した店。
あそのこ経営者に、京次郎を抜擢させていただきましたw
これも、かなり前から考えてた設定w
その店の名前とか、京次郎の名前についてなんかは、まだ考えてないですけども。
なので、京次郎は当店のホストとしては登場しませんw
ただ、京次郎の話もネタは考えてるんで、いずれ書くと思いますw
ファンの方、期待せずにお待ちくださいw
ちなみに、京次郎が抜擢された理由は、辰馬と京次郎の絡みが書きたかったって言う、安易な理由です。←
それから、今回はタツマと言うことで特別仕様。
オーナーの私、noah登場ヘ(゚∀゚*)ノ←帰
すいませんwww
これも、ただ自分が絡みたかっただけなんですwww
タツマのネタを考えていた当初から、この設定だけは外せない・・・!と思ってましたwww←
オイシイトコ取りでサーセンwww
しかも、ヤっちゃってんだぜコイツら( ´艸`)←
付き合ってるって言う意識はお互いにないので、他の異性と一緒にいても全然気にはしないんですが、ヤる事だけはヤってますwww←黙
タツマが、ナニを「試してみるか」と聞いたのか。
自分が、ナニを「教えた」のか。
その辺は、ご想像にお任せしますwww
オーナーって呼ばれたり、代表って呼ばれたりしてますが・・・
代表兼オーナーなので、あんまり気にしないでくださいw
どっちでも好きな方で呼んd(ry←呼ばない
あ、店長でm(ry←
今後は・・・多分、出てこない・・・とは思う・・・けどわかりません。←
好きなキャラの時だけ出てきますwww
前回と違って、EROシーンがなかったので物足りなかった方もいらっしゃったでしょうか?www
ソチラも、各自脳内補完していただければと思いますw
では、長くなりましたが、あとがき以上ですw
次は誰にしようかなぁ・・・