NPO JCPのブログ

人類共通の遺産を護り、育み、次世代に伝えていくために組織されたNPO法人 文化財保存支援機構の活動をお伝えするブログです。

平成29年度もNPO法人文化財保存支援機構をよろしくお願い申し上げます。

私たちは、皆様とともに
文化財を通した社会貢献の使命を果たすべく、
被災地支援の活動を行ってまいります。



HPは→http://www.jcpnpo.org/ / 2011年4月以前のブログは→http://blog.canpan.info/jcpnpo/


テーマ:

本日は、「文化財レスキュー」3日目です。

 

午前1回目の講義は、独立行政法人国立文化財機構文化財防災ネットワーク推進室長の岡田健先生による特別講義「文化財防災の考え方と救出保全活動のための備え」です。

 

 

「文化財防災ネットワーク推進室」は、東日本大震災における文化財救出の対応をふまえ、文化庁と連携した防災ネットワークの構築、必要な人材育成、情報収集・分析・発信を行い、有事に迅速に対応する体制を構築するために国立文化財機構に設置されました。

先生には、実際の災害現場の経験をお話いただき、同じ現場は二度無いけれども、現場に被災文化財レスキュー経験者がいるかいないかでも、状況はかなり変わります。そして、熊本城は未指定文化財ですが、熊本市民にとってはシンボルであり、国をあげての修復活動が注目・実現しています。レスキューにおいて、損害があったことへの記録はもちろん行われますが、損害がないことへの記録と評価も行なうべきではないかなど、今後の様々な展望もお話くださいました。

 

 

午前2回目の講義は、国立歴史民俗博物館研究部特任准教授の天野真志先生による特別講義「自然災害への備えと緊急時対応〜課題と可能性〜」です。

 

 

歴史資料ネットワーク(通称:資料ネット)は、地域に伝来する歴史資料の保存・継承活動を行っており、東日本大震災以降、災害対策を含む活動組織として認知されています。

専門家、ボランティアがそれぞれに役に立てる方法とは?資金ゼロベースでもできる段階的コンサベーションの実現に向けてなど、広域ネットワークという社会的潮流の中で、資料ネットが今後どのようにアプローチしていくのか。先生がリアルタイムに考えるボランティアをベースとした組織ならではの課題と可能性についてお話いただきました。

 

 

午後の講義は、一般社団法人RQ災害教育センター理事・事務局長の八木和美先生による特別講義「東日本大震災、熊本地震における災害救援活動と地域の文化の復興」です。

 

 

RQ災害教育センターでは、被災地でのボランティア活動を円滑に進めるための拠点として、近年では大規模な被災に見舞われた殆どの被災地に設置され運営されています。本コースは文化財レスキューをテーマとしていますが、RQ災害教育センターは広義のボランティア支援組織です。

「災害教育」とは?

前代表者が災害現場で活動する参加者たちの「強い学びを得る事実」について名付けました。定説はまだありませんが、「貢献の感情を人格的成長の資源として捉え、教育体系に位置づけるための取り組み」と定義し、RQ災害教育センターの活動映像とともにご紹介いただきました。後半は、先生から「今、ここ(東京藝大上野公園)で災害が起きたらどうするか話し合ってみましょう」と、班に分かれ意見を出し合いました。急でしたが、災害とはそういうものであり、意識的にでも日頃の備えが大事なのだと改めて感じました。

 

 

文化財レスキュー3日目の最後はディスカッションです。

受講生からは多くの質問が出ました。多かったのが、文化財レスキューで自分のアンダーグラウンドを活かすことができるのか?

現状では、現場に入った人が自分の本来の専門を活かしての活動ばかりではなく、総合的判断力を求められること、分野相違による共通言語の問題、何でもやるという意識の重要さがあげられました。

 

 

また、実際にボランティアに参加している方からは、応急処置作業について次の段階(技術的な高み)へ行くことは可能か?との質問も。これは資料ネットでも抱えている一つの問題点のようで、ボランティアの方が活動しやすい方法・道具を工夫しているようです。

今回も時間いっぱいの議論を終え、その後も受講者と先生方の交流が続きました。

 

 

先生方、受講者のみなさん ありがとうございました。

 

次回の実践コースは、「油彩画の修理と仕様設計」をテーマに12月16日(土)~12月17日(日)の2日間、場所は東京国立博物館で行う予定です。まだまだ受講生募集中です!

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

本日は、「文化財レスキュー」2日目です。

 

午前の講義は、白岩修復工房の白岩洋子先生によるWS「保存へと導くための写真技法の識別」です。

 

 

写真は私達にとってとても身近なものですが、その歴史や種類の多様性については意外と知らない人が多いのではないのでしょうか?

今回の先生のワークショップでは、写真の歴史を学び、実際の写真資料を見比べながらその特徴を見極め、識別に挑戦しました。様々な文化財にも通じることですが、対象の材料や劣化状態を認識した上で対処法を検討します。その第一歩を学ばせていただきました。

 

 

班毎に異なる写真を選び、識別しました。写真の構造が違えばその劣化状態にも特徴が表れます。

 

 

そして、写真に対するオリジナルと複製の概念が、他の文化財とは違うことにも改めて気付かされました。その価値は一様ではなく、レスキューの現場では、たった一枚の家族の写真が救われることでその人にとってはなにものにも代えがたい文化財が守られることになるのです。とても印象深いお話でした。

 

 

 

午後の講義は、国文学研究資料館准教授の青木睦先生によるWS「アーカイブズの初動レスキューとタイムライン」です。

 

 

日本人は、基本的に外部からの支援を受けることに慣れておらず、災害時もそうなのだという。“支援”は“受援”するための心構えであると青木先生は最初にお話してくれました。

 

レスキューは「初動対応」が重要です。先生が現在まで携わってきたレスキュー事例のうち4件について、受講生が自分達だったらどうするか?現場の状況を想像しながら、先生のレスキューフロー図も参考に話し合いました。その後、各班ごとに発表を行いながら先生のアドバイスを受けました。

 

 

 

先生はご自身の経験から、役に立つ沢山のレスキュー道具をご紹介してくれました。レスキュー用ものが市販されているわけではありません。ローコストで既製品のものを現場に役立つように工夫するのも重要です。アイディア満載です!

 

受講者には実際のレスキュー現場に参加している方も多数おり、熱心に意見交換もしていました。

 

 

 

先生方ありがとうございました。

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

実践コース3回目「文化財レスキュー」コースは、東京藝術大学の中央棟講義室にて9月29日から10月1日まで3日間行われます。今回も全国から16名の受講者が集まりました。

初日の模様をお届けしたいと思います。

 

午前中の講義は、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻教授の桐野文良先生による特別講義「被災文化財レスキューにおける保存科学の役割」です。

 

 

天災が起き、レスキューという現場での保存科学の役割と関わり方についてご講義下さいました。先生が手に持っているものは、江戸大地震出火瓦版、安政の大地震の被害調査状況など記したものです。被災により情報が錯綜する中、正確な情報を伝える・得る事がまず大事である。現在にも通じる事です。そして、先生が携わっている大エジプト博物館保存修復センタープロジェクト(GEM)についてもお話いただき、その後2班に分かれて文化財保存学専攻保存科学研究室と敷地内陳列館で開催されていた「台湾文化を後世へ伝える」展の見学を行いました。

 

保存科学研究室の見学

陳列館展示の見学

 

 

午後は、東京都立中央図書館資料保全室の見学です。

 

 

「災害から資料を守り、救うために」というテーマで、資料保全専門員の眞野節雄さんに中央図書館での資料防災マニュアルについてご説明いただきました。

 

 

やはり資料にとっての大敵は水です。その中で、近現代の書籍等に一般的に用いられている“塗工紙”の特性とそのレスキュー事例について、映像を交えながらご説明いただきました。特別に書庫も見学させていただき、実際の資料保管状況について学ぶ貴重な機会を得ることが出来ました。

 

 

 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

本日は、「考古遺物の修理と仕様設計」3日目です。

 

午前の講義は、渋川市教育委員会古巻公民館の長谷川福次先生による「縄文土器の梱包、縄文原体の基礎(縄の撚りかた)」です。

 

 

土器の梱包を始める前に、まずは美術品全般を扱う際の服装の説明から、土器は必ず高さの中心より下側を両手で持ちます。土器は立てて使用するものなので、立てた状態での輸送が望ましいです。

 

 

皆で梱包に挑戦しました。コツは梱包材で円筒状にすることだそうです。

 

次に、土器を装飾する縄文についての講義です。縄文には規則性があり、それを定義付けした山内清男氏による「縄文原体」の基礎を学びました。実際に撚ってみたのですがとても難しいです。

 

 

 

先生の見本です。一本から多くの縄文ができあがるんですね!

 

 

午後1回目の講義は、東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター長の澤田正昭先生による「基礎材料論/考古遺物保存における材料の話」です。

 

 

澤田先生は多くの遺跡の調査に携わられ、その保存と活用についてお話してくださいました。

 

文化財に使用する修理材料は、特に文化財用に開発されたものではなく、基本的に市場にあるものから有効なものを選び利用していくことが多いです。溶剤や接着剤などの特徴を踏まえながら、遺物の修理に用いた際の具体例を紹介してくださいました。(アンコールワット遺跡群、広島原爆ドーム等)特に石造の遺跡の問題は「水」です。地下から浸透してくる水をどう防ぐのか、岩盤全体の強化と撥水処置に必要な正しい材料の選定と施工が重要です。

 

 

木材の遺物は湿潤な土中から発掘されることが多く、それに含まれる不安定な水分を安定化した物質に置き換えるPEG含浸法などを用いて物質の硬化を図ります。技術的な問題も重要で、対象物すべてを硬化して固めるのではなく、修理したものが均一な強度であることが望ましい。これは、すべての文化財に通じることであると思いました。

 

 

最後は、石原道知先生と長谷川福次先生によるディスカッションです。3日間のテーマであった考古遺物の修理について、受講生の皆さんと意見を交換しました。

 

 

テーマに沿ったコースの開設により、受講者もその専門分野の方の割合が多くなります。それぞれの現場で実践していることや、日々感じていることを話し合い、「復元方法の是非」や「オリジナルと修復カ所の区別」についてそれぞれ意見を出し合いました。

長谷川先生からは、修復実例から学ぶこととして縄文土器はそんなに単純なものではないと、修復対象への見方を限定しないようにとのお言葉をいただきました。そして、石原先生の修復処置の実例について受講者から先生へ質問が出るなど、絶えず議論は続きました。

 

 

先生方、受講者のみなさん ありがとうございました。

 

次回の実践コースは、「文化財レスキュー」をテーマに9月29日(金)~10月1日(日)の3日間、場所は東京藝術大学他で行う予定です。まだまだ受講生募集中です!

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

本日は、「考古遺物の修理と仕様設計」2日目です。

 

午前午後の丸一日を、帝京大学文化財研究所教授の鈴木稔先生に講義いただきました!「考古遺物の分析―分析試料の前処理と調製―」についてのワークショップです。

 

 

午前中は「包埋試料(ほうまいしりょう)」の作成を行いました。

 

理化学的測定における一般的な手法に対し、文化財測定には様々な制限要素があります。非破壊が前提であれば、“資料(原本)”のサンプリングはできないので同素材等の“試料”による分析となります。資料(試料)にツールを合わせるため規格化が困難であること。分析には標準試料の重要性があるものの、文化財では標準がない状況での測定になるざるを得ないことが少なくありません。そのため、先生は長年、可能な限りの試料収集および包埋試料の作成を行ってきました。

 

試料は小さく微量であることが多いことと、適切な保管とラベリングが必要になります。そのため、分析ツールに応じた試料のコーティングをして観察・分析を行います。

先生と一緒に作ったものは、エポキシ樹脂に試料を包埋させる私たちでも可能な“一見”簡易な方法です。まずは分析試料の調達ですが、なんと先生のお手持ちの銅製銭をいただけるなんて!それを一部切り取らせていただきました(許可がある場合のみです)。このグラインダーは主にサビを除去する際の道具だそうです。スタッフも試しに使わせていただきましたが結構難しい…


 

そして、樹脂を埋め込む「型」は先生オススメのフィルムケースの蓋です。エポキシ樹脂を流し入れ、中に試料が入っていることを確認して硬化を待ちます。

 

 

 

 

硬化を待っている間に、先生が分析してきた試料画像を見せてくださり、まるで宇宙のような世界が広がっているように見えました。

 

 

午後は、硬化した試料を研磨します。段階的に耐水ペーパーでやすり、#2000番では界面活性剤(洗剤)を水に少量加えて行いました。研ぎ出した面がラウンドしないようにしなければなりません。途中で実体顕微鏡を覗いて表面の傷がないか確認して進めていきます。最後の仕上げにコンパウンドで磨きます。

先生が持参してくれた包埋試料はまるで琥珀のようにきれいに仕上げてあり、分析までの下準備にかかる手間を彷彿とさせ、これを行わないと良い分析ができないのだと実感しました。

 

受講生は初めて体験する試料作成にとても熱心で楽しそうでした。

 

 

試料の銅が研ぎ出されてきました。綺麗な色ですね。

 

 

鈴木先生ありがとうございました。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。