[なんちゃってジャズピアノ講座] #39 Misty Aメロ~サビ前 スケール練習 | 白鍵と黒鍵のスキマから

[なんちゃってジャズピアノ講座] #39 Misty Aメロ~サビ前 スケール練習

おひさしぶりでございますー。
久しぶりの「なんちゃってジャズピアノ講座」ですよ!

今回から、いよいよ "Misty" のアドリブ練習に入ります。

ところで、いつもならここで "コードトーンのみによる練習" からはじめるのですが…実は、スローバラードの場合、このコードトーンだけでアドリブする、というのは結構、というかかなり難しいのです。いまいちキマらない。キマらないと、"なんちゃって"としては楽しくないですね。だから、飛ばします。

でも、コードトーンのみによる練習は「どの音が、いまのコードの重要な音か」を把握、聴く、体で覚える、ことにはとても重要な役割を持っています。あなたの本気度によりますが、きっちり練習しておくことはオススメします。でも無理は禁物。少しずつやっていきましょうね。

さて、「コードトーンは飛ばします」と豪語したのですが、じゃあ何からはじめるかというと、「スケールによるアドリブ練習」です。ブルースのときも枯葉のときもやりましたね。

ただ・・・すいません、Mistyはとにかくコードの種類が多いですから、覚えないといけないスケールがたくさんあります。バラードを演奏したい!人は、このスケールという覚えゲーを楽しんでいきましょう。

今回はAメロからサビ前までを攻略していきたいと思います。ということは、サビ後のAメロも弾けますね。ま、順番順番。サビはまた次回です。

またまた、今回も動画を見ていただいたほうが理解が早いと思います。ただ、動画のほうに楽譜を載せられなかったので、以下、教材?として今回登場するスケールの楽譜を貼り付けておきます。


白鍵と黒鍵のスキマから-Misty A section scales


これを曲中のコードに対応する形でスケールを採用し、演奏します。以下、対応と理論的な説明を加えておきたいと思います(動画でも note: として理論をぶちまけていますが・・・わからないときは無視して覚えることに専念!)

以下、理論セクションなので、「うおお!死ぬ!」と思ったら飛ばしてください。

まず、キーが Eb Majorですから、I度から順番に
Eb F G Ab Bb C D
となります。(Eb Major Scale)

そして、この構成音は 開始地点を並べ替えることで、今回使う6つのスケールに対応させることができます。今回はD音から始まるスケールが登場しませんので、6つですが、本来7つなのでこれを「ダイアトニック」といい、ダイアトニック・コード、に対応したスケールと、いうことになります。以下、D音からのものを除くダイアトニックコード、およびそこでのスケールの対応を示したものです。

EbMaj7 では Eb Ionian (これ、つまりEb major scaleと同じです)
Fm7 では F Dorian
Gm7 では G Phrygian
AbMaj7 では Ab Lydian
Bb7 では Bb Mixolydian
Cm7 では C Aeorian

まあ、これは頑張って覚えておくと得かもしれません。Eb Ionianは Ab Lydian と同じ構成音だ、ということは、つまり、いま知らないスケール、 G Lydian、といわれても、D Ionianと同じ、ということは D Major Scale が解ればいいんだな、とか、もしくはスケールからキーを逆算する、とかいろいろ使えるんです。

さて、このダイアトニック・スケールをまじえつつ曲を順番に進めていくと、まず、最初のEbMaj7は Eb IonianでOKなのですが。
その次に Bbm7 - Eb7 が出てきます。これは、上に挙げたスケールでは演奏が出来ません。
ここは、その次の AbMaj7へ解決するtwo-five です。ということは・・・ Bb Dorian、Eb Mixolydian を採用することになります。
「ということは」というのはなぜか? まず、Ebキーで考えてみると two-five は Fm7-Bb7-EbMaj7 ですね。で、AbMaj7へ解決するtwo-fiveは、というと Bbm7-Eb7-AbMaj7 となるんです。

そして、これはつまり、本来Ebキーであるこの曲が、一時的にAb Major キーへ転調している、とも読めます。このことが、次に説明することに意味を持たせてくれます。

次の AbMaj7 では、まず、ダイアトニックコードですから、Ab Lydian が採用できますね。さらに、「一時的にAb Major に転調している」ことを根拠として、ここでは Ab Ionian も使える、のです。実際に演奏してみると、耳でそれが解るでしょう。

次は Abm7 - Db7 ということで、これまたダイアトニックコードではありません。これも一見すると two-five ですが、その次のコードは、EbMaj7。ということは、two-five-one進行ではありません(two-five-oneならば Abm7-Db7-GbMaj7 とかになるはずなんですよね)。

これは、Db7 が サブドミナントマイナーの代理コードである、ということを前提に、そのtwo-five形にしたもの、と考えると良いのです。そして、サブドミナントマイナー終止、というコード進行の結果 Db7⇒EbMaj7 が成立するのです。

本来のEb Majorでのサブドミナントマイナーは Abm6 です。そして、このスケールは本来は Ab Melodic Minor というスケールを採用します。 Ab Bb B Db Eb F G ... 下半分がマイナーで上半分がメジャーのようなスケール。ところで、これを Db音から並べ替えると、 Db Lydian b7th スケールがそのまんま出てきます。

なので、ここでは Ab Dorian ⇒ Db Lydian b7th を使うことになります。ヤバいですね。two-five見かけたら何でも Dorian-Mixolydian でいいんじゃないか、と言う人もいますが、より豊かな演奏のためにも、このへんのスケール採用の理屈や解釈を知っておくと、「あえてはずす」とか「あえて重く」とか「軽く」とか出来るようになるので、少しずつでもいいから理解していきましょう。ワカンナイときは質問してくださいね。

で、そこからはしばらくダイアトニックコードとそのスケール。 Eb Ionian - C Aeorian - F Dorian - Bb Mixolydian - G Phrygian ...

で、次はC7なのですが、これはダイアトニックコードではありませんね。これ「VI度のセブンス」ということで、これまでも説明したことがありますが、オルタード系のドミナントコードです。そして、オルタードのドミナントなので、ここでは C Harmonic Minor Perfect 5th Below (HMP5th↓) を使うことになります。名前長すぎなので、こんな名前よりスケールの構成音を覚えましょう。

そして、Gm7-C7-Fm7-Bb7・・・と III-VI-II-V の形を取るため、Fm7-Bb7 のところはダイアトニックですから、Dorian, Mixolydian...としてOKです。

これでAメロは終わり。次はA'セクションがありますが、最後の部分が違うだけで、説明済みのスケールで演奏可能です。

さて、今回はさすがにいくらなんでも覚えることが多すぎるかもしれませんが、ちょっとずつでもいいから、進めていきましょう。バラードはピアノソロでも「映える」スタイルですから、この苦しみを乗り越えて身につけるときっとモテます(嘘)

ではまた次回! わからないところはどんどん質問してくださいねー