[なんちゃってジャズピアノ講座] #33 Misty その2 サビ前ブロックコード解説 | 白鍵と黒鍵のスキマから

[なんちゃってジャズピアノ講座] #33 Misty その2 サビ前ブロックコード解説

最初に断っておきますと、今回とか正直いきなり理屈っぽくて難しいかもしれません。ごめんなさい。

なんちゃって、というスタンスで33回目に突入しましたが、やはりいろいろな演奏パターンをゲットして「でへへww」とかするためには(なんだよそれ)、少しずつ理論とかイディオムの類も身につけていく必要があります。ので、そろそろ、いきますよ。それに、two-fiveとか練習してきた皆さんなら大丈夫ですよ、きっと

今回は、Mistyのサビ前からサビ、なのですが、このまま普通に紹介すると、なんかコードの解説ばっかりになってしまいます。

サビのコードはちょっとスパイスが効いていて面白いとこなのですが、まずは!!サビ前のところでよく使われる「ブロックコード」という演奏スタイルを練習しましょう。これも定義がいろいろで、今回紹介するものもほんとの一例に過ぎませんが、そのへんもジャズの懐のたいへん深いところですので、少しずつ少しずつやっていきましょうね。

今日の参考楽譜はこちら。


白鍵と黒鍵のスキマから-Misty Block Chord


なんか分厚い楽譜でクラクラしたかもしれませんが、順番に説明しますよ。大丈夫です。

まず 一番上の行ですが、「一番上の音」だけ弾いてみると、これがMistyのサビ前の Eb→Bbm7 のところだ、ということが解ります。普通なら左手でコード、右手でメロディーのところを、「両手で音のカタマリを作ってコードとメロディーを同時に演奏する」という風にします。

さらに、「一番上の音」と「一番下の音」(これらを外声といいます(厳密にはベースなども含めて考えればこの2音はオーケストレーションとしての外声ではありませんが...細かいことは気にしない))が、同じ音になっています。つまり、「メロディーを外声にとった 1オクターブの中にコードトーンを詰め込んだもの」が ブロックコードというスタイルだ、という風に言い換えることが出来ます。

しかも、コードが Eb△7じゃなくて Eb6 になってますが、これは今回は「そういうものだ」と思ってあきらめてください。 Eb6のコードの構成音は Eb G Bb C。 Eb△7は Eb G Bb D。 D(Maj7)の音が全音下がっていますね。

ところが、メロディーの Eb F G Bb C の音のうち、 F音だけ、あきらかに違うコードになっています。ここ、「F○7」とか書いてありますが、これは "F ディミニッシュ(セブンス)" と読みます。普通、「Fdim7」とか書きます。なんだよそのコード!!Ebと全然違うじゃないか!という怒りも聞こえてきそうですが、大丈夫。まずは、ディミニッシュコードについて解説しましょう。ただし、理論的なところはちょっと置いといて、まずはdim7コードを演奏することに注目しましょう。

楽譜の一番下の行を見てください。3小節に分かれていますが、よく見るとわかるとおり、各小節の中にある4種類のdim7コードは「構成音が同じ」です。そう考えると、3種類しか、(構成音としては)dim7コードはないのです。やりました!覚えることは大変少なくてすみますよ。

そして構成音ですが、結局体で覚えることになりますが、鍵盤を前に作るなら、ルートの音から、短三度(3半音)上、を繰り返していくと、4音のdim7コードが出来ます。5回目はルートに戻っちゃいますからね。この「循環性」もdim7のdim7たるところなのですが、そういうのは置いといて。

さて、このdim7コードですが、もっともベーシックな使い方としては、ある曲の、トニックコードの上にメロディーが載ってくるときに、2度と4度と7度の部分をそれぞれその音をルートとするdim7コードとし、それ以外はトニックの6thコード(key:EbならEb6です)の転回形を使う、というものです。実際に、楽譜の一番上を見てみると、そうなっています。演奏例でもそのように弾いていますのでご確認ください。

このブロックコード、咄嗟にやるためには相当練習しないといけません。なので「なんちゃって」としては、自分なりにここでキメる!という場所について、事前にどういうボイシングになるかを確認しておくことをオススメします。Mistyのサビ前なら2つ目だけFdim7なのだな、あとは Eb6 の転回形だ!と(この転回形も含めてバッチリ暗記してしまったほうが演奏上はスマートになるでしょう)。

他の曲でもやりたい!という人のために この maj6thコードでのブロックコードの練習方法を楽譜の2行目、3行目に載せてあります。

12のキーのドレミファソラシド…(移動ド) 1234567~ をゆっくりでいいので、「6th, dim7, 6th, dim7, 6th, 6th, dim7, 6th」・・・としてひたすら上、下と練習するのです。いま練習しているMistyは key:Eb なので、3行目で key:Eb の場合を紹介しています。

「こんなの練習したくないよー 理論もいやだよー」という人は Mistyでしか使えないのは覚悟の上で、一行目の譜例を練習してくださいませ。

ちょっと古くさいサウンドではありますが、独特のサウンドがあり、使いどころを選べばなかなかの破壊力なのがこのブロックコード奏法。Mistyのサビ前は定番のキメポイントでもありますので身につけてみてはいかがでしょうか。

では、演奏とか練習例!