[なんちゃってジャズピアノ講座] #32 Misty その1 | 白鍵と黒鍵のスキマから

[なんちゃってジャズピアノ講座] #32 Misty その1

お待たせしました。前回ちょっと前フリしましだか、今回から "Misty" という曲に取り組んでいきたいと思います。

で、、、例によってメロディ譜面が載せられないんですね。楽譜も B♭キーとE♭キーの派閥?があり、私はE♭を使うことにしました。

いまいち入手しやすい楽譜が分からなかったので、なんかメロディに繋がる暗号を書いておくことにします。ただ、ちょっとアレンジ入ってるかも。

"5-3-7------ 5 6 ♭7 6 6 6 6 5 3 1 6~~ (ここでA♭△7) 3 4 6 1 3 5~ 545~ 54(続く)"
"(Eb Cmのとこ) 3~~ 45 1~~ 23 4~6~~~ 7 1 2 (ここからGm7) 3~~~~^"
省略して、サビ前
"1~2~3~ 5~6~ ♭7~♭7 6 ♭7~~ ♭7 1 ♭2 1 ♭7 6~~~ / 1~ 2~ 4~5~6~"
"7~~ 767~ 76 2~ 7~6~ (こっからGm7) 適当に"


はい、今回取り組むMistyは ピアノソロバラード風、でいってみたいと思います
。いままではベースとドラムスにあわせて、という感じでしたが、今回はそんな感じで。

Eroll Garnerの名作中の名作、Mistyは歌詞がなんともあま~い感じのラヴソングでして、メロディーもコードもなんとも直球といいますか、盛り上がったり穏やかになったり、と取り組みがいのある曲です。上級者のみなさんにはMistyはあまり流行らないといいますか、「つまらない」などと言われたりもするのですが、当「なんちゃってジャズピアノ講座」としてはぜひともオススメしたい曲です。

さて、まずはコードをさらっていきましょう。


白鍵と黒鍵のスキマから-Misty Chord


最初、2音が先行して、Eb△7がじゃーんと鳴ります。keyはEbですからこれはトニックコード、と呼びます。メロディーはMaj7の音で、いきなりなんともいい雰囲気でございます。

で、次がいきなりの 5度m7(=Bbm7)から始まる two-five です。すると、 5度m7→1度7→・・・となるので、当然 Ab△7 にいきますね。Two-fiveそのまんまです! ただし、 Ab△7 へ転調しているか、というとここは解釈が人それぞれで、私はここは keyはE♭のまんまで Ab△7 (4度、サブドミナント) が鳴っていると考えますので、ヴォイシングが 9度ではなく ルートの Ab音を入れています。 このへんの考え方については説明しましたよね。

で、今度は Abm7から始まる two-five。 理論的にはここは サブドミナントマイナーへのtwo-fiveです、が、いまは理解できなくても大丈夫です。そのうち、この講座でも理論も少しずつ押さえていきますので。

で、 Abm7→Db7 まではいいけど、普通そうなると Gb△7へ解決しそうなものなのに、 Eb△7にいってますね?しかも違和感がない。これは Db7 が key:Ebのサブドミナントマイナー(の代理)だからです。 サブドミナントマイナー終止というやつで、甘い響きがウレシイですね。なにがだ。

そこからの流れは、 Eb△7→Cm7→Fm7→Bb7 、とまずは覚えましょう。これ「イチ・ロク・ニー・ゴー」という進行です。Cm7は key:Eb の 6度m7。だからロクです。Fm7→Bb7 はkey:Eb のtwo-fiveですよね? だから、ニー・ゴー。もう、この進行は、マジで!?ってぐらい頻繁に出てきますので、パターンとして覚えましょう。

理屈は以下。
6-2-5 はベースがすべて4度進行という強進行になっているのが特徴です。6度m7はトニックの代理コードとして古典から今にいたるまで使われ続けています。1→6 はトニックからトニックへの連結だ、ということです。そして、6を出発にして4度4度と飛び回る。これがイチロクニーゴーのポイントです。

で、私は Bb7の後に Ab7を挟む、というアレンジを加えています。次がGm7なので、という説明だといささか乱暴ですが、なかなかオシャレな音になると思うので余裕があったら使ってみてくださいね。

その理屈は以下。
同音型での並行進行ということもさながら、Ab7ではLydian flat7thを使うことになるため、U.S.TはBbということで、メロディーとの互換性もばっちり、ハーモニーにも無理がない。Ab7は半音下のGm7へ進行するドミナントコードとしても機能する。というわけで、ここにAb7を挟んでもよい、という考え。

今回理論の説明多いな・・・ なにごとも順番があるので、字を薄く小さくしていますので、無理して詰め込まず適当に飛ばしましょう。理論も少しずつやる、ということでね。

で、次、 Gm7のヴォイシングは、9thのA音ではなく RootのG音を入れていますね? これは Gm7が key:Eb にとって 3度m7 だからです。 3度m7 のスケールはPhrygian (フリジアン) です。フリジアンは 9th のテンションを持っていませんから、ここで A音を鳴らすとハーモニーの性質が変化してしまうのです。いまは「キーの3度のマイナー7thコードは9thは使わないほうがいいようだ」とでも覚えておいてください。(もちろん、あえて9thを使ってドリアンの性質を出すということも当然のようにやりますが、今の段階では基本に忠実に!)

Gm7→C7Alt→Fm7→Bb7 は "サン・ロク・ニー・ゴー"。こうなると、ベースは全部4度進行です。でも、さっきの ロクはCm7だったのに、今回は C7のオルタードが使われていますね?そう、"ほにゃららロクニーゴー"進行は、ロクとかニーの部分はしばしば m7 ではなく 7thコード(ドミナントコード(セカンダリ))が使われます。というか、使えます。 ほかの曲でも言いましたが、 キーの6度の7thは オルタードを使う、という定石がありますので、C7Altです。

で、これでAメロ一周しました。大変ですね!! コードが多いし。

二回目は、最後だけ少し違っていて、 Gm7にはいかずに、 Bb7→Eb△7、で終わり。で、Eb△7ずっと引っ張っていると退屈なので、ここはプレイヤーが自由にコードを入れたりする部分、という慣習になっていたりします。この曲だと、 Db7を使うといい雰囲気になるかな、と思うので参考にしてみてください。

さて、ここからサビですが、いささか詰め込みすぎというものです。


サビ以降の解説は次回にするとして、まずは サビまでの部分をキッチリ!!練習しましょう!

なかなか質問などいただけることが少なくて寂しいのですが、わからない!どうなっとるんじゃ!というところなどあればぜひぜひコメントとかメッセージくださいませ。

前回までに two-five-one や two-fiveAlt-one をやってきたことを考えれば、もう自分で左手の形は作れますよね!最初は難しいですが楽しいところですのでがんばってください。

演奏例もつけていますが、まだ説明していないこともいろいろやっていたりしますので少しずつ、少しずつ、押さえていきましょう。