[なんちゃってジャズピアノ] #19 枯葉(Autumn Leaves) テンション | 白鍵と黒鍵のスキマから

[なんちゃってジャズピアノ] #19 枯葉(Autumn Leaves) テンション

あいかわらず更新頻度の遅いjazzpianica(tanigon)です。こんにちは。

なんちゃってAutumn Leaves(枯葉)編もそろそろ大詰め、今回はテンションノートの練習をしましょう。ブルースのときにもやりました。

テンションを使う、とはどういうことか、というと コードの9thとか11thとか、そういった音を鳴らせばいい、ってわけでもないです。たとえば C△7 のときに「ドレミー」と弾くと、レの音は9thに当たるのですが、演奏上これを「テンションプレイだ!」ということはありません。これは経過音。

では、テンションを意識的に置くというのはどういうことか、というと、要するに飛び石的といいますか、その音をフィーチャーした演奏、ということになります。なので、アプローチ方法は無限にあるのですが、ブルースの時と同じく、コードの構成音の上に 9thを載せる、という方法で練習してみたいと思います。(もちろん、たとえば Cm7 の部分でD音だけを叩くと、これはこれでテンションプレイなんですが、なんとなく収まりがつかない、といいますか難しいプレイになってきます)

練習方法もブルースと基本的には同じです。3種類の練習をします。まずは楽譜。


白鍵と黒鍵のスキマから-Autumn Leaves Tension

では、解説していきましょう。まず、各コードの 3,5,7thの音についてはいまさら説明しません。ここがわからない場合にはコードトーンの練習とかまで戻ってみっちりやってくださいませ。

で、3,5,7、ときたら 9thです。ところが、この9thはどこでも使えるというわけではありません。コードと、そこでのスケールによって「どんな9thが使えるか」が決まってきます。また、9thが原則として使えない場合(=アヴォイドとして指定されている場合)もあります。

どんな9thか、というのは大きく分けると、2種類になります。「ナチュラル9th」と「オルタード9th」。ナチュラル9thというのは、音的にはコードのRoot(1st)の全音上の音(を1オクターブ上げたもの)です。オルタード9thというのは、ナチュラル9thの半音下と半音上の音の両方を指します (なので、さきほどの表現でいくと、ルートの半音上の音と短3度にあたる音、ということになりますね)。

コード別に「どちらかの9thが使えるのか」を説明します。

まず、Cm7、Gm6、Gm7、Fm7など、「マイナー7th/6th」のコードにはナチュラル9thを使います。枯葉においてはその解釈でokです。というのは、あるコード(Cm7でもいい)があって、そのときのスケールがフリジアンである場合、つまり Cm7 が Ⅲm7 である場合(ということはキーはA♭の場合ですね)は、ナチュラル9thはスケールに含まれておらず使えない、からです。そういったケースもあるから、マイナーセブンスを見たらとにかくナチュラル9th、というのは「耳で確認して」プレイしたほうが良いということです。(ジャズの演奏は解釈の世界なので、フリジアンだろうがなんだろうが ナチュラル9thを演奏する(=ドリアンの解釈に近づく)ということも可能です。だから耳で確認せよ、ということです。)

次に、F7、E♭7などナチュラルテンションでのドミナント7thコードではナチュラル9thを使います。D7やG7では使いません。セブンスを見たときに、どちらのテンションを使うか、はつまり左手のヴォイシングによっても変わってきます。左手と右手で違うテンションを弾くのは基本的にはダメです。今の段階ではとにかく、F7とE♭7はナチュラル9th、ということでいきましょう。

Am7(♭5)では、9thのテンションは使えません。えっ、、ということになるのですが、今回の練習ではスケールの第二音、ということで♭9thの音を埋めて練習しています。演奏上、この音を使っても経過的な用法であれば特に違和感はないので、注意しながら使うことはできます。

以下、ウンチク。ロクリアンにおいては9thはテンションとして認められないものの、マイナーのtwo-fiveなんて一杯あるわけで、ここで9thが使えないとかカンベンしてよ、というわけで、もう一つ、ロクリアンのナチュラル9thというスケールがあります。要するに♭9ではなく9thを使うようにしたロクリアンで、これはこれでなんというかいい感じの音がします。ただ、用法はさらに難しくなりがちで、その9th音を半音下げると、次にドミナント7thの♭13thになる、という音の動きを利用した演奏になることが多いのです。「なんちゃって」としても使いたいところではありますが、2曲目として枯葉を演奏している段階では、知らないほうが良いというものです。

D7、G7ではオルタード9thを使います。で、オルタード9thのうち、♯9th を使うとすると、7thからの音の距離がやや遠い。そんなわけで♭9thを使うことにします。

さて、Gm7-C7-Fm7-B♭7の部分は、正直忙しいので、Gm7→Fm7のように考えて、ナチュラル9thでプレイすると良いでしょう。慣れてきたら、もちろんガンガンにチェンジしてアプローチしてもokなわけです。


どんな9thが使えるかを確認したところで、今度は練習法ですが、3パターン練習すれば力がつきます。
  1. 3-5-7-9 と上がって、降りてくるようなパターン
  2. 3-5-7-9、なんだけど、 3のあと 下の5に行って、7-9と上がってくるパターン
  3. 9-7-5-3 と、最初の音がいきなりテンションで、下がっていくパターン
楽譜ではこの順番で練習しています。1コーラスに3パターン全部入れていますが、基本的にはそれぞれを1コーラスずつ練習したいものです。

最後に、またまた一発録りの演奏例です。テンションを使う、というのは慣れてくると当たり前になってしまうせいか、正直、うまく「テンションを強調した演奏」になっているかどうかわかりませんし、9thだけを使おうとして考え込んでモタモタしている部分があって恥ずかしいところです。テンションは11th系、13th系、とまだ上があるため、おそらくこれらの音もついつい使っていますがご容赦くださいませ。

不明な点とか、「ここがわからん」というところがあれば是非コメントとかくださいませ!