[なんちゃってジャズピアノ] #15 枯葉(Autumn Leaves) スケールによるアドリブ | 白鍵と黒鍵のスキマから

[なんちゃってジャズピアノ] #15 枯葉(Autumn Leaves) スケールによるアドリブ

コードトーンでのアドリブ、いかがでしょうか!?

ブルースと比べると、コードの種類も多く、1小節ごとに変化していきますので慣れないうちはスピードに飲まれるような感覚があるかもしれません。こういうときはゆっくりと、ピアノだけで練習しましょう。ゆっくり演奏するとき、ただゆっくりではなく、アドリブのスイング感を練習するチャンスと思ってアクセントを裏へ裏へ、意識して演奏すると効果的です。

さて、ブルースの時と同じで、次は各小節のコードにあった、スケールを使ってのアドリブ、ということになります。前述の通り、スケールの中にはコードトーンがすべて含まれていますから、使える音は事実上3音だけ増えることになります。コードトーン間に音が入るわけで、なめらかに音をつなぐことが出来ますから、このあたりを意識するのがコツです。

さっそく楽譜です。


Autumn Leaves Scale Training

コードの種類と同じぐらいのスケールが出てきていますので面食らうかもしれませんが、すこしずつ、やっていきましょう。

以下、重要な点だけを示します。

"Dorian" においては 第6音 (C Dorian なら A=ラの音) がアヴォイドトーンです。ブルースの時に説明したように、この音に長くとまるとコードの響きを損ないますので、この音はあくまで経過的に、通過点として使うようにするのがポイントです。

以下、アヴォイドの確認といきましょう。
"Mixolydian"においては第4音 (F Mixolydian なら B♭の音) がアヴォイドです。

"Ionian"
においても第4音 (B♭ Ionian なら E♭の音)がアヴォイドです。

"Lydian"および"Lydian ♭7th"
にはアヴォイドがありません。これ、アドリブの幅を広げていくときに結構重要になってくる事実ですが、まあ今はとにかくないと覚えておくといいでしょう。

"Locrian"においては第2音 (A Locrian なら B♭の音)がアヴォイドです。余談ですが、この ○m7(♭5) に使われるロクリアンというスケールは特に第2音に創意工夫を凝らした演奏も多く、ナチュラル9thをテンションのように使うバージョンや、本来アヴォイドの♭9thをクロマチックな進行の中に混ぜることによってちゃんと響かせるようにしたものなどがあります。でも、まずは、「あまり留まらない」ことを意識してみてはどうでしょうか。

"Harmonic Minor P5h Below" でも第4音(D HMP5th Below なら Gの音)がアヴォイドです。ただし、このアヴォイドも賛否両論あるとかないとか、積極的に使う向きもあるようです。ジャズの「解釈による」という面白いところの一つで、その場合は違うスケールやコードを暗黙のうちに使っている、という解釈もあるのかもしれません。

さて、スケールそのもので特に説明が必要なものもあります。

"Melodic Minor" というスケールがそれで、この枯葉では(つまり人によって違うという意味ですが)、キーを Gmとし、トニックマイナーにMelodic Minorを使う、と決めています。他にはNatural MinorやHarmonic Minor、Dorianをトニックのスケールとして使う、というケースがあります。4者の違いは第6音と第7音の組み合わせ。興味のある人はいろいろ変えて演奏してみてもいいかもしれません。

さて、"Melodic Minor"だけ特に説明が必要な部分、というのは 「上行と下行で音列が違う」という特性です。なにそれ!ややこしい!という感じですが、とりあえず自分の耳でゆっくりと、聴いてみることをオススメします。たしかに、上行のときはしっくりくるのに、その音のまま下がってくるとなんかヘン、と思いませんか。そんなわけで下行だけナチュラルマイナーと同じ形にしてあるわけです。

(余談ですが、下行でもまったく同じ音列を使うようにして、それを "Jazz Melodic Minor" と呼ぶという話もあります。テンポが速くなったり、音列のスムーズさとは別に、ある種のモーダルさを出すなどの場合にはそちらのほうが都合がいいかもしれませんね)

さてさて、スケールは難しいですから、とにかく弾き込みが大事です。頑張ってくださいませ!今回はHarmonic Minor P5th Below も2種類のコードで使っていますし、ここを張り切ったり、Melodic Minorの第6音なんかを捨石のように使うと「ジャズっぺ~」な部分が増えます。「なんちゃって」としても見せ所ですから、是非是非試してみてくださいね。

以下おなじみ演奏例