葬式で声を上げて泣いたのは初めてだった。


正面の笑ってる現ちゃんの写真の下に残された奴ら4人の後ろ姿を見つけた時、俺の心の防波堤は決壊した。



元ちとせさんが歌い始めた。


2回目のサビに来た時、明大前の「とうほう」というスパゲッティが有名な喫茶店にいた俺達の中の君が笑った。



こんなに葬式って泣けるのか?ってもう一人の俺が冷静に考えていた。


何か、つられて前の人も泣きが激しくなった気がしてちょっと可笑しくなった。



夜、西麻布のレッドシューズにまだ4人が生きているか確認しに行った。



店に入った瞬間、メンバーの中で一番アホと言われているクレイバーなアイツと抱き合った。



すかさず、俺の中で永遠に19才の口下手っぽい天才ベーシストが左に来てくれた。



一瞬で西麻布のそこは「とうほう」に変わった。



そう、俺達が集まればね、いつだってあの頃と同じ空気が生まれるんだぜ!!いいだろ。



熱狂的阪神ファンのヤツはまだ明大前にいると大笑いしあった。



「レピッシュはもう俺のバンドだと思ってる」



何故か、こんな傲慢な事を3人に伝えたくて仕方なかった。



それは俺達がライブハウスで知り合ったんじゃないから。

あの汚ねえ校舎の地下で知り合ったから。

まだ夢さえ始まってなかったから。




現ちゃん、また「とうほう」で8時位までダラダラしようぜ!