今朝電車の中で読む本を探して

たまたま「山岡鉄舟の武士道」(勝部 真長編 角川ソフィア文庫)を

手に取って読んでいてふと「品格」について考えたのでちょっと書きたい。


山岡鉄舟は、一般的に次のような人といわれている。(以下上の本より)


慶応4年、駿府の官軍本営に乗り込んで、徳川慶喜の恭順の意を伝え、江戸

無血開城への道を開いた至誠の人山岡鉄舟、その命がけの忠義の姿を西郷

隆盛は「稀有の勇士」と讃えたという。


という人だが、

本のなかでは、明治時代の日本や世界を次のように評している。


近頃は、紳士という流行語のつくものどもを見るに、滔々そてい天下、私利私欲をたくましくし、

邪道天地に満々としている。あるいは、学生・子供が父母、師長をあなどって上下ともに人倫の

なんたるかを顧みないものどもが充満しているように見受けられる。

上にあっては地位や報酬をむさぼり、汚職・収賄を平気でやり、下にあっては人目を

だまして、私利をほしいままにするものが多い状況である。


また次のように言っている。


今日世界人心を泥まみれにした気圧原因は、一つには科学進歩の余波と思われる。


さて、そこでふと思い出したのが「品格」ブームである。


国家の品格や女性の品格なども本がベストセラーになっている。

そこで語られる現状は上と変わらない。

そして、そこで言われているのは、戦前は明治の日本には品格があったという

話である。しかし、その当時であっても山岡鉄舟から見ると堕落のきわみで

あったということになる。


しかし、山岡鉄舟の言うとおり江戸時代は品格がある人だらけだったかというと

そうとも思えない。特に幕臣の旗本の多くがまったく実践の役に立たなかったという

事実だけでもそうともいえないと思う。


さて、ここで「品格」という言葉の本義について考えたい。


まず品ということばを大辞林で引くとつぎのとおりである。


(1)形があって、人の生活に何らかの役割を果たし、持ち運びのできる程度のもの。また、売買の対象とするもの。
「記念の―を贈る」「よい―をそろえた店」「これはお勧めできる―です」
(2)質のよしあしなどで区別した、物の等級。内容などの違いによる、物の区別。種類。
「あれとは―が違う」「―が落ちる」「手を変え―を変え」
(3)上下の差別。序列。差異。
「弓といへば―なきものを/神楽歌」
(4)階段。段。[和名抄]
(5)人の階級。身分。家柄。
「口惜しき―に思ひくたし給ふとも/宇津保(俊蔭)」
(6)1 2 (「科」とも書く)人や物に備わっている好ましい様子。
(ア)(身分が高いことを示すような)優雅なおかしがたい感じ。また、物の風情・情趣。ひん。
「陪従の―おくれたる、柳に挿頭の山吹わりなく見ゆれど/枕草子 220」
(イ)(人の心を引きつけようとする)気取ったしぐさ。また、なまめかしいしぐさ。
「此の娘生まれ立ちより―をやりて/浮世草子・禁短気」
(7)事情。次第。事柄。
「よい場を持てば―により物干にさへ貸すならひ/浄瑠璃・二つ腹帯」
(1)形があって、人の生活に何らかの役割を果たし、持ち運びのできる程度のもの。また、売買の対象とするもの。
「記念の―を贈る」「よい―をそろえた店」「これはお勧めできる―です」
(2)質のよしあしなどで区別した、物の等級。内容などの違いによる、物の区別。種類。
「あれとは―が違う」「―が落ちる」「手を変え―を変え」
(3)上下の差別。序列。差異。
「弓といへば―なきものを/神楽歌」
(4)階段。段。[和名抄]
(5)人の階級。身分。家柄。
「口惜しき―に思ひくたし給ふとも/宇津保(俊蔭)」
(6)1 2 (「科」とも書く)人や物に備わっている好ましい様子。
(ア)(身分が高いことを示すような)優雅なおかしがたい感じ。また、物の風情・情趣。ひん。
「陪従の―おくれたる、柳に挿頭の山吹わりなく見ゆれど/枕草子 220」
(イ)(人の心を引きつけようとする)気取ったしぐさ。また、なまめかしいしぐさ。
「此の娘生まれ立ちより―をやりて/浮世草子・禁短気」
(7)事情。次第。事柄。
「よい場を持てば―により物干にさへ貸すならひ/浄瑠璃・二つ腹帯」


次に格と調べると次のとおりである。


(1)そのものの値打ちによってできた段階・位・身分・等級など。
「―が違う」「―が上がる」
(2)きまり。法則。規則。方式。
「凡(およそ)世間出世の―をこえて―にあたるにあたらずと云事なし/沙石 10」
(3)やりかた。手段。流儀。
「江戸の―にて盃をさしたるおやまを/滑稽本・膝栗毛 5」
(4)〔case〕文法で、名詞・代名詞などが、文中で他の語に対してもつ関係。日本語では、「が・の・に・を」などの格助詞が格の関係を示す。また印欧語では、語形変化や前置詞によってそのような関係を示す。例えばラテン語には、主格・呼格・属格・与格・対格・奪格の六つの格がある。
(5)〔論〕〔figure〕三段論法で、大小両前提に含まれる中概念の位置によって分類される四種の形式。
(6)律令制下で、律令の規定を改めるために出された臨時の法令。きゃく。


結局、品格は一定の段階や上下関係と関係があると言葉であることが分かる。


では、品格があるというのはなんらかの価値体系の中で上にあるということではないかと思う。

さてさて、たとえば品格のある国家とはいかなる国家であろうか。

それは、おそらく国際的にあっても国内的であっても一定の価値体系のなかでそのなかで

より上位の位置づけを占めるとうことだと思う。


上下という概念は他社との比較関係でもあり

その他社との関係で決まるすると国際的に品格ある国家と認めら得るためには

現在一般国際的な価値体系に即して上位にある価値に沿った行動をすることになる。


また、国内的に別に価値体系を持って自己満足的に品格を論じるときは、国民が

国としてのあり方に他国と比較して品格があるというと思えばそれはそれで品格ある

国家ということかもしれない。


(以下続く)