■ 韓国の通貨危機

97年、韓国は通貨危機により破産寸前に陥ったところを日本に救われている。

これに関連した「通貨保証」を一部のサイトでは、

「韓国のウォンはハードカレンシーではないので、日本が円とウォンを交換するのをやめればウォンが使えなくなって韓国経済は崩壊する」

という間違った見解(噂?)を目にすることがあるが、それについても通貨危機に関する話の中で詳しくみていこう。

まず、上記の“噂”の中で誤解されている部分の一つを先に言えば、ウォンは円との交換を前提に流通している通貨ではない。



★予備知識

・ハードカレンシーとは、国際社会で信用と裏付けを持つ通貨のこと。
・ウォンはハードカレンシーではないが、円はハードカレンシーである。
・ウォンは円とは独立した通貨単位である。
・円はウォンと交換できる。ウォンは円と交換できる。
・ウォンは円以外にも、ドルやユーロなど他の通貨とも交換が可能。
・円とウォンはレートの保証はしていない。
・ウォンは世界的にみればアジアの一地方の一通貨でしかない。
・朝鮮半島が夜になればウォンの取引は行われなくなる。

要するにウォンというのは世界的にみて比較的「普通の通貨」である。

それに対して円は、24時間常に世界情勢に反応して変動しながら世界中で取引される、ドル、ユーロとならぶ“世界3大通貨”の一つであり、いわゆる「普通の通貨」ではない。

また、経済大国とされる韓国でも経済規模は日本の8分の1程度である。


実はこれらの“円”の条件がウォンを優位にしている部分があるのだが、まずこれらを踏まえて、「通貨危機」についてみてみよう。

通貨危機とは1997年に巻き起こったアジア経済の大混乱のことであり、その時、日本政府やIMF(国際通貨基金)は、アジア経済の“回復”と“安定化”のために大規模な支援を行っている。
(タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンにも支援したがここでは省略する)

★韓国の通貨危機 経緯まとめ

97年タイ・バーツの暴落後、韓国では中小の財閥の破綻が続き、大企業だった起亜グループの中枢である起亜自動車までもが破綻。
金融不安が加速したため、破産寸前で韓国はIMFに支援を要請した。

ところが過去最大規模のIMF緊急支援パッケージ(総額580億ドル超。94年のメキシコ危機を上回る)を受けたにもかかわらず韓国経済は回復せず、ウォンは下げ止まらないまま、年末には1ドル1719ウォンまで急落してしまった。

しかもこの時、韓国の主要銀行が抱えていた短期対外債務残高320億ドルの大部分は日米欧の民間銀行からの借入れに集中していたため、それらの銀行が韓国向けローンの回収を急ぎ、韓国の外貨準備が急速に枯渇するという危機にも見舞われた。

つまり巨額の支援を受けても市場に安堵感も回復も見込めないままに海外の銀行から借金の取り立てに追われる韓国を国家破産から救うためには、それらの銀行に「債務の返済繰り延べ」をさせられるかどうかが鍵になる。

それゆえ日本政府は、国内の金融市場も混乱中にも関わらず、短期間で韓国に対する債務繰り延べについて邦銀の合意を取り付け、日米欧民間銀行団の短期債務繰り延べを妥結に導いたのである。

この日本政府による交渉妥結は市場に大きなインパクトを与え、1月29日に1ドル=1678ウォンだった為替レートは、翌日には1524ウォンまで一気に値を戻し、韓国の国家破産の危機は回避された。

辛くも苦境を脱した韓国が拡張的財政政策により経済回復をはかろうとしていた翌98年にも、日本政府は「アジア通貨危機支援に関する新構想(新宮澤構想)」による支援で韓国の経済回復を資金的に支えた。

具体的には、韓国の主力産業にとっての大きな挫折要因になろうとしていた電力とガスなどのエネルギーの供給不足(韓国は伝統的にエネルギーの原材料の備蓄が少なく民需手当てさえ強く懸念されるような状況だった)を救済し、それに加えて民間銀行の貸し渋りにより資金調達難に喘いでいた中小企業に対して、公的金融による資金支援拡大を望む韓国政府の政策に沿って新宮澤構想の中小企業セクター支援は公的金融機関である韓国中小企業銀行を通じ13億ドルの資金を供給し、韓国の実体経済の改善に貢献した。

(財務省のホームページを参考に要約)


上記の経緯の中に“過去最大規模のIMF支援”があるが、その中において日本は韓国に対して第二線準備としては最大の100億ドルを二国間でコミットしているのである。

韓国の通貨危機へのこのような日本政府の対応はASEAN+3の枠組みの中で行われたためにわかりづらくなっているが、ウォンが再び通貨危機に陥っても『100億ドル分は円でウォンを保証すること』、つまり韓国経済が失敗した際に「責任の一部を日本が持つという約束」をしているのである。
(つまり新宮澤構想は“韓国に失敗させないための支援”である)


話をもう少し掘り下げると、確かに100億ドル程度の影響が直接韓国を崩壊させることはありえないが、通貨危機を通じた日本政府の対応は韓国にとって金額とは別の重要な意味も持っている。

まず、先ほど述べたように“円”の国際的信用と影響力は絶大なため、国際金融の場で「日本が」韓国のために身を切って金を拠出したという事実はそれ単体で大きな意味を持つ。

それと同時に韓国の通貨危機の際に日本が100億ドルを保証するという約束は、危機に直面しても日本はウォンとの取引を止めない、見捨てないという意味である。

これらについて、先ほどの噂を糺しながらまとめると、ウォンがハードカレンシーかどうかはこの話においては日本と関係がないし、レート保証をしているわけでもないので、円と交換できなくなっただけではウォンが使えなくなるような事態にまで発展する確率は低いのだが、再びウォンが危機に陥った際に“日本がその一部を保証する立場にあること”はウォン(を含むアジア通貨)の安定に重要な役割を果しているという意味である。

つまり、この保証は、再びアジアが(韓国が)通貨危機に見舞われないように責任の一部を日本が負うことによって国際的信用の低いウォンを円の信用で補強しているという意味なので、「円との交換ができなくなればウォンが使えなくなって韓国経済は崩壊する」という意味ではないのである。

ただ、韓国は実際に破産しかけた国であり、今もIMF管理下にある国であるため日本との関係が致命的に悪化した場合には海外の資本が韓国から逃げる公算も高く、その意味では(“通貨の交換”とは無関係な部分で)韓国経済の崩壊という話もあながち間違いとまで言い切れないことを付記しておく。


また、これらに関連して「通貨スワップ協定」(ある国の通貨危機において政府が市場介入するための資金が無い場合に他国が短期的に外貨を貸し付ける約束)等も通貨危機の中の支援と混同されて例の噂の原因の一つになったものと思われる。
(ここでは省略する)

さらに詳しく知りたい方は以下のURLを参照して頂きたい。

財務省
ttp://www.mof.go.jp/jouhou/hyouka/honsyou/14nendo/hyoukasho/sougouhyoukasho/ronten1.htm
ttp://www.mof.go.jp/jouhou/hyouka/honsyou/14nendo/hyoukasho/sougouhyoukasho/tsukakengaiyou.htm
ttp://www.mof.go.jp/jouhou/hyouka/honsyou/14nendo/hyoukasho/sougouhyoukasho/sankousiryou.htm

外務省
ttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ecodata/pdfs/k_shihyo.pdf
ttp://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/gai/asia_tuka/th99_01_0203.html

ttp://unikorea.parfait.ne.jp/031040/40b.html
ttp://www.mskj.or.jp/getsurei/suzukir0005.html
ttp://hunter.main.jp/IPE/AMF.shtm
ttp://toron.pepper.jp/jp/syndrome/meishin/imf.html



余談だが、このIMF危機の時に韓国国内では非常に珍しいことが起きた。

危機に直面して韓国では当初、金泳三(キムヨンサム)前大統領が例によって「日本責任論」を展開した。韓国の金融市場に最も貸し付けていた日本の金融機関がその資金を引き揚げたために危機になったとして「全ての責任は日本にあり、韓国政府に責任は無い」というものである。
(※もちろんデタラメである)

ここまでは何も珍しくはない。
「良くない結果は全て日本のせいにする」というのは韓国では日常茶飯事だ。

だが、ここからが珍しい。
金泳三の次の大統領である金大中(キムデジュン)大統領が、前政権の責任を追及するために証拠を揃えたところ、日本責任論が完全否定されたのだ。

結果、“前政権を攻撃する為の調査”のおかげで、実は日本の金融界は通貨危機を引き起こすどころか、外資の中で最後まで残って韓国への義理と半島共産化抑止の為に踏みとどまっていたという事実が明らかになった。

つまり韓国の伝統的な正史史観において、政権の代替わりの度に“前政権を完全否定する”という内輪揉めの副産物である。

韓国において、「真実」が「反日」に勝利した非常に珍しい事例である。





いろいろな事例をみてきたが、間違いなく言えることは、日本は韓国のために“昔も今も”骨を折り続けていることと、彼らにはそれに対する感謝はないということ。

それどころか日本が韓国のために骨を折ること自体を「植民地支配の償いとして当然だ」と思っているのである。


ここで改めて確認しておきたいのは、彼らの横暴の根拠が全て「誤った歴史認識」に由来しているということである。

日本を含む先進国ではある面で“過去に固執ぜずに流し、現在を見る感覚”があるが、彼らはその正反対なのである。

真の日韓友好を実現させる方法があるとすれば、彼らの目が覚めるまで日本人が正しい歴史を辛抱強く説き続けることがまず前提条件なのかもしれない。

過去が確実に現在に繋がり、未来にも影響を及ぼす可能性がある以上、日本人は彼らに対しては歴史認識を安易に譲ってはならないのである。

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