よく「NPOとNGOの違いはなんですか?」と言う質問を聞かれます。この二つの違いを明確に説明するのって、結構大変ですよね。実は関係者の間でも、このあたりは見解がバラつくこともあります。


まずNPOはNon Profit Organization=非営利組織という意味になりますが、もともとこの名称は米国の法人制度や税制度で使われていたもので、営利を目的としない団体名称として広く使われてきたものです。そういう意味では経営的な方針を強調したものです。1998年に「特定非営利活動促進法」、いわゆるNPO法が日本で制定され、日本でもNPOという名称が広く使われるようになりました。このNPO法で認証を受けた団体が、国内で活動するNPOの数が多いことからも、「国内で活動する市民団体がNPOだ」と理解される部分が多いのです。


片方NGOは、Non Governmental Organization=非政府組織の意味で、国連設立時に、民間のボランティア団体や非営利団体が国連機能にとって重要であるという認識から、それらの総称として、NGOという言葉が使われるようになったのが始まりです。国連憲章71条にNGOの定義と役割が書かれています。つまり政府機関でないということが強調されています。その後開発途上国の生活向上のために働く団体が急増し、それらをNGOと呼ぶようになり、なんとなく「海外の課題にとりくむ市民団体はNGOだ」と理解されるようになっていきました。


しかし、厳密にいうと、どちらも同じ活動団体の特徴を指す名称であり、基本的に違いはないと私は説明しています。そもそも市民がボランタリーに社会課題にかかわるとき、以下のような共通の原則があるからだと思います。


(1) 誰かに頼まれたり、強制されてやるのではなく、自発的にとりくむ。政府のように法律があるからやるので  はないということですね。

(2) お金を儲けることを目的に活動しない。自分の利益を増やすために働くのではなく、不特定多数の人が幸せになれるように取り組むということです。だから自然と非営利になります。

(3) 支援する対象は人種、宗教、国籍といった違いにこだわらない。だから非政府な立場に自然となります。


つまり、ボランタリーな市民による活動の経営方針の面を強調したときが「NPO」、政府との違いを強調したときが「NGO」となります。すでに詳しい方にとってはあまり、関心の湧かない内容だったかもしれません。