かつて僕はGREEN DAYをただのポップなバンドだと思っていた。

メロディーはキャッチーで、聞いてて気持ちいいが、

これといって独特なものに欠ける、よくある売れてるバンドの一つだと。


でもそれも前作『アメリカン・イディオット』が出るまでのこと。

あれはロック・パンクミュージックにおける革命だった。

相変わらずキャッチーなメロディーだが、一つ一つの曲が、

描かれている詩の世界と絶妙にマッチしていた。

それは、もともとの英語の詩を味わえない人には分からない世界。


そして空前絶後のロック・オペラと呼ばれることになる手法。

アルバム全体が一つの物語を形成していた。


すぐさま『アメリカン・イディオット』は、僕にとって、

今まで聞いた全てのアーティストの全てのアルバムの中で最高のものとなった。

しかも大きく2位以下を引き離して。


だからその次の作品である『21 Century Breakdown』が

少々パワーダウン気味であろうと、そんなことはどうでもいい。

あんなすごい作品を出してくれたのだから。


とはいえ、このニュー・アルバムの中にもいい曲がいくつかある。

とりあえずその中の一曲、アルバム名にもなっている

"21 Century Breakdown"という曲を僕なりに日本語訳してみた。



GREEN DAY

21 CENTURY BREAKDOWN



Born into Nixon, I was raised in hell.

ニクソン政権下で生まれ落ち、地獄で育った

A welfare child where the teamsters dwell.

トラック運転手たちが住む生活保護施設で

The last one born, the first one to run.

最後に生まれたが、一番先に逃げ出した

My town was blind from the refinery sun.

俺の街は精油所の光で盲目になってしまった



*My generation is zero.

俺の世代はゼロだ

I never made it as a working class hero.

労働者階級のヒーローにもなれやしなかった


21st century breakdown.

21世紀のブレイクダウン

I once was lost but never was found.

その昔迷子になり、見つけられることはなかった

I think I'm losing what's left of my mind

わずかに心に残ったものまで失い始めている

To the 20th century deadline

20世紀の終わり間際に



I was made of poison and blood.

俺の体は毒と血でできている

Condemnation is what I understood.

不良の宣告は理解できる

Videogames of the tower's fall

タワーの崩壊ゲーム

Homeland security could kill us all.

自国の防衛がおれたちを皆殺しにすることだってあるんだ



*repeat


We are the class of thirteen.

おれたちは13期生

Born in the era of humility.

卑下する時代に生まれ

We are the desperate and in the decline.

自暴自棄でひたすら落ち込んだ

Raised by the bastards of 1969.

1969年のアホどもに育てられた



My name is 'no-one', the long lost son.

おれの名前は「誰でもない」、ずっと前に見捨てられた子供

Born on the 4th of July.

74日に生まれた

Raised in the era of heroes and cons.

英雄とペテン師の時代に育ち

Left me for dead or alive.

やつらは生死にかかわらずおれを見捨てた



I am a nation, a worker or pride.

俺は国家、誇りを持った労働者

My debt to the status quo.

現状には借りがあるんだ

The scars on my hands are a means to an end.

手の傷は終着点へ辿り着く手段なんだ

It's all that I have to show.

俺にはそれくらいしか見せるべきものがない



I swallowed my pride

プライドをのみこみ

and I choked on my faith

信仰を窒息させた

I've given my heart and my soul

心と魂をささげた

I've broken my fingers

指を折り

and lied through my teeth

白々しいウソをついた

the pillar of damage control

ダメージを受けないために柱に隠れ

I've been to the edge

極限状態を味わった

and I've thrown the bouquet

祝宴のテーブルをひっくり返したこともある

of flowers left over the grave

その上には墓場で飾られていた花の余りがのっていた

I sat in the waiting room

おれは待合室で座り

wasting my time

時間を無駄に過ごした

and waiting for judgment day

最後の審判を待っていたんだ



I praise liberty

おれは自由をたたえる

The freedom to obey

従うべき自由を

It's the song that strangles me

それはおれを窒息させる歌

Well, don't cross the line


一線を越えてはいけない



dream, American dream.

夢を見ろ、アメリカよ

I can't even sleep.

俺には眠ることさえできない

from the light's early dawn

夜明けの太陽が明るすぎるんだ

scream, America scream.

叫べ、アメリカよ

Believe what you see

目にしたことを信じるんだ

from heroes and cons.

英雄とペテン師の中に見たものを