伊東には、国の登録有形文化財の旅館があります。 「ケイズハウス」です。
先日、その文化財の旅館に宿泊する機会がありました。
隣にある「東海館」は、伊東市指定の文化財なのですが、この「ケイズハウス」は、何と「国の登録有形文化財」なんです。
伊東の松川沿いに並ぶ、国と市の指定文化財が並ぶ様は、それはそれはとても素晴らしい景観です。
この松川沿いの景観は、「静岡県まちなみ50選」にも選ばれています。
「ケイズハウス」は大正末期に、旅館「大東館」として「稲葉惣次郎氏」によって建造されました。 約100年の歴史ある旅館です。
時を同じくして、お隣の「東海館」も建造されたんですね。
「東海館」は「稲葉安太郎氏」が建てたのですが、お二人はどうもご親戚同士だったみたいです。
お隣の「東海館」は、今は旅館経営はされていません。 稲葉氏が伊東市に寄贈され、観光施設として開放されています。
「ケイズハウス」の玄関屋根は「唐破風(からはふ)」つくりになっています。
寺社に見られる工法ですが、大分お金もかかるでしょうね。
「ケイズハウス」は「大東館」として営業をしていたのですが、戦後になって「東海館」の所有者である「稲葉安太郎氏」が買い取って、旅館「いな葉」として営業を継承し、平成10年に「国の登録有形文化財」に指定されたんです。
しかし、その後は、「ケイズハウス」として、全世界のバックパッカーらの拠点として生まれ変わりました。
「ケーズハウス」には、外国人のお客様もかなりお見えになります。
でも、私が泊った時は、いらっしゃいませんでした。 残念・・・・。
「ケイズハウス」は、国の登録有形文化財で、しかも源泉かけ流しの純和風ホステルです。
玄関のガラスには「いな葉」と書かれています。 「いな葉」と言う旅館名で登録文化財に指定されているんです。
でも「ケイズハウス」の看板もありますよ。
料金はとても格安。
相部屋だったら「2950円」から宿泊できます。 この旅館は残念ながら食事はつきません。
でも、自炊はできるんですよ。
スタッフの方は一日3人くらいという少ない人数でまわしていらっしゃるようです。
忙しいでしょうね。 お安く提供するために、たいへんなご努力をされているのではないか、と思います。
スタッフの方は、ここのお仕事だけでなく、いろいろとかけもちされていらっしゃる方が多いようですよ。
地元FM局のアナウンサーをやられている方もいらっしゃいました。
自称農家、と言う方もいらっしゃいました。
それでは内部をご紹介しましょう。
玄関を上がり、左に受付、まっすぐ進むとロビーになります。
3つの部屋があり、椅子の部屋、こたつの部屋、インターネットの部屋、になっています。
椅子の部屋につながって、和室・座椅子の部屋もあります。
外国人の方に喜ばれそう・・・・。
更に奥に進むと、テレビの部屋。
部屋にはテレビがありませんので、テレビを見る時はこの部屋で見ることになります。 当日は全くすいていて、テレビ独り占めでした。
受付を左にいくと、キッチンが用意されており、食器も自由に使えます。
もちろん電子レンジ、トースター、炊飯器、調味料も用意してくれています。
確か、紅茶、コーヒーも置いてありました。
長期間の滞在にも便利ですね。
大広間もあるんですよ。
52畳もあります。 昨年は、ここで踊りをご披露し、宿泊されていた外国の方にも喜ばれたようです。
欄干には彫刻も施されています。
「森田東光」さんによる彫刻です。
お隣の「東海館」の大広間の彫刻も、確か「森田東光」さんだったと思います。
私が泊ったお部屋です。
こじんまりとした、ホッとする部屋ですね。
床の間や、彫刻が立派な部屋もありますよ。 ちょっと高くなります。
窓の鍵です。
懐かしいでしょう。 私の小さい時の家の窓は、みなこんな鍵でした。
最初のねじ込みが合わないと、なかなか閉まらない・・・。 小さい時を思い出してしまいました。
階段の手すりにも彫刻が施されています。
細かいところにも気遣いがされているんですね。
一番上の4階は望楼になっています。
この望楼は、当初からあったわけではなく、昭和4年に増築されたんです。
町を見渡せる眺望です。
お風呂を覗いてみました。
お風呂は改装されたようで、とてもきれいな浴場です。
湯口は昔からのものみたいですね、きっと。
最初に書きましたが、源泉かけ流し。 でもちょっと温めです。 じっくりと浸かっていないと風邪をひきそう。
宿泊しなくても、日帰り入浴もできます。 500円です。
大浴場の他にも、貸切家族風呂も用意されています。
伊東を観光し、市内で美味しい食事をいただき一杯飲んで、「ケイズハウス」に泊り、ゆっくりとかけ流しの温泉に浸かり、朝は近くのモーニングをいただき、ゆっくりと出立する、素敵な旅行を楽しめると思います。
もちろん、朝はパンを買ってきてトーストにしてもいいですね。
東北に赴任している時に、山形尾花沢の奥に「銀山温泉」というひなびた温泉に泊ったことがあります。
そこの旅館も、大正末期から昭和初期にかけて建てられた温泉旅館が並んでいるんです。 そこを思い出させてくれた「ケイズハウス」でした。
伊東にお越しの際は、是非ご利用ください。 伊東駅を降りて、湯の花通り、キネマ通りをまっすぐ進み、キネマ通りアーケードを抜けると、松川に沿って進むとすぐ右手に「東海館」「ケイズハウス」があります。
ケイズハウス
静岡県伊東市東松原町12-13
℡ 0557-35-9444