7月11日、「伊東自然歴史案内人養成講座」がありました。 テーマは「伊東の景観と環境」。 午後は現地視察です。


最初の研修場所は「小室山」。


「小室山」は我々のウォーキングコースの一つで、標高321m、頂上からは天気が良ければ、富士山、相模湾、房総半島、伊豆諸島も見渡せる素晴らしい景観のところです。


前にもご紹介させていただきましたが、2月中旬には1000種4000本の「つばき」が、4月下旬には10万本の「つつじ」咲乱れるとても素晴らしいところで、観光のお客様もたくさん来られるところなんです。


マイクロバスで駐車場に到着。


伊豆だより-1


雲が多く、天気は芳しくありませんね。


伊豆には、一度だけ噴火して小型の山体をつくる「単成火山」が多いのですが、この「小室山」も、1万5千年前に噴火したマグマでできた「スコリア丘」の「単成火山」なんです。

静岡大学の小山先生が監修された「伊東がつくった伊東の風景」という伊豆東部火山群の地図がありますので、それを見てみましょう。

     
        伊豆だより-2



茶色に塗られている部分が、真中の小室山から流れた溶岩の流れです。

伊豆東部の火山の様子が大変判りやすい地図です。 

早速、上に行って、その流れを確認してみましょう。


いつもは歩いて頂上へ行くのですが、この日は養成講座の研修ですので久しぶりにリフトで登りました。


伊豆だより-3



リフトに乗るのは久しぶり。 ちょっとワクワクしますね。


リフト乗り場の前には、スコリアのかけらが置かれていました。


伊豆だより-4


見た目は軽石のようです。

「スコリア」とは噴火の時に流れてくるマグマが、中に溶解していた水などの揮発成分が発砲したためにスカスカになっているんですね。

この写真では判りにくいと思いますので、ウェブから写真をコピーさせていただきました。


伊豆だより-16



「小室山」はこのような「スコリア」からできている山なんです。


リフトで頂上に着くと、すぐ前に「地層のはぎ取り標本」が展示されていました。

「小室山」から1.5km離れた三野原というところの工事現場でこの地層が見つかり、標本にしたのだそうです。

この標本は最近製作されたようで、私も初めて見させていただきました。


伊豆だより-7


伊豆だより-8


伊豆だより-9


写真では判りにくいのですが、


左の標本の一番下が、約4万年前の伊豆の外から入ってきた火山灰の地層、


そしてその上が、約3万7千年前の地久保火山からの噴火の地層、


その上が、約3万4千年前の川奈南火山からの地層、右下につながりますが、


その上が、約1万5千年前の小室山からの噴火の地層、


そして、その上には、約4千年前の大室山からの噴火の地層、


となっています。


三野原の工事現場の写真も展示されていましたので、ご覧ください。


伊豆だより-10



地層がものすごく判りやすいですよね。


さて、頂上からの景観です。


伊豆だより-11


     伊豆だより-12


伊豆だより-13


ゴルフ場が見えますが、わかりますでしょうか。 「川奈ゴルフ場」です。

溶岩の流れでできた地形が大変よくわかります。

海から眺めると、もっと判るそうです。

機会があれば、海から眺めてみたいと思います。


今までは、頂上からの景観を、ただきれいだな~、と眺めているだけでしたが、ジオサイトという観点から見ると、また、ちがった楽しさがでてきますね。


この景観が、また数万年経つと、変化してくるのでしょうね。


この後、研修マイクロバスは川奈に向かいます。