前回の記事にも書いた通り、2007年の夏を迎えて抗ガン剤の副作用が増え、それは秋に差し掛かかっても続いていたようだ。
9月に入ってからのメモ書きにも、「口内が荒れて痛い!」、「眼の縁がかぶれる!」、「喉が痛い!」等々の症状に悩まされていたことが残っている。
そんな状況でも仕事は忙しく、帰宅が遅くなることも多々あった。
そしてある日、上司から昇進を打診された。
徐々に体力は回復し、CTや胃カメラの検査では特に変化はなかったが、副作用には悩まされていたし、腫瘍マーカも上がったり下がったりだった。
受けるかどうか悩んだ!
妻とも何度も話し合い、主治医のO先生や長年の付き合いのM先生にもご意見を伺った。
妻は、反対した。
「地位や多少の昇給よりも、身体を労わって欲しい!」と言った。
「もう2度と、仕事のために身体まで犠牲にはしないで欲しい!」とも言った。
主治医のO先生も、反対された。
「今の時点で、心身のストレスを増やすことはやめてください。」と言われた。
M先生は、賛成された。
「あなたの性格から、悔いは残さない方が良いのではないか?」と言われた。
最終的には、自分で決断して断った。
確かに、会社では組織の運営にしろ諸活動にしろ、自分のやりたいことをやるには上位の方が有利なのは明らかで、当時、自分が推し進めたい活動も幾つかあった。
自分の歳(当時52歳)を考えても、これが最後の昇進のチャンスでもあった。
しかし、私のガンは、ストレスも原因しているだろうと言われていた。
また、これ以上、家族にも周囲にも迷惑は掛けられなかった。
悩んだ末に、そのポストは有望な後輩に託し、私は彼のサポート役に回ることにした。
悔いはなかった!と言うと嘘になるが、私自身にとっても家族にとっても、その決断は間違っていなかったと思っている。
【2007年9月25日のメモ書き】
昇進は自ら断った格好だが、多少の心残りはある。
でも、それは人間の欲望かな!
まぁ、のんびり行こうよ!!