30代から始める「源泉徴収と年末調整」 | ぶっちゃけ税理士・岩松正記のブログ

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仙台市の税理士、岩松正記が書く、起業・ビジネスネタを中心に、ときどき読感やセミナー感想など。
山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無一文を経験後に開業。
モットーは「一蓮托生」

小飼弾「新書がベスト」の影響・・・で新書の紹介w


源泉徴収と年末調整―納税者の意識を変えられるか (中公新書)/斎藤 貴男

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著者:齋藤貴男
職業:フリージャーナリスト
発行:平成8年(1996)

目次
第1章 戦時増税の手段として
第2章 源泉徴収・年末調整の意義と仕組み
第3章 メリットとデメリット
第4章 源泉徴収制度をめぐる代表的な裁判事例
第5章 給与所得控除とその他の矛盾
第6章 問題点の整理と提言




私がまだ一般の会社に勤めていた頃に読んだ一冊。


著者の立場上、反権力がテーマで貫かれている本という印象は否めません。
本書の後半はちょっと煽りっぽくて、う~む。。。という感じもあります。


しかし、本書前半の徴税システムの話と
その歴史の紹介については大変わかり易い。
源泉徴収の導入にナチス・ドイツの影響が大いに働いたのはまぎれもない事実
という歴史は、私はこの本で知りました。



それと、この本を読んだ当時は「」だったのですが、
会計事務所に入った後、「なるほど」と実感したのが、
国税における源泉徴収税の扱いです。

サラリーマンの源泉徴収税は、まぎれもなく所得税です。
しかし税務署において源泉徴収税というのは、
法人税の部門が担当しているのです。
納付の話でなく、源泉徴収税の金額計算についての窓口は、
税務署では法人調査部門(の源泉徴収担当)となっています。

なぜそうなっているのか・・・については本書の記載に任せますが、
このことは実際に税金に携わる仕事をするようになって実感するようになってから
より一層理解が深まりました。


10数年以上前の本なのでデータが古くなっているのは仕方ないですが、
しかし、我が国の徴税システムは
この本が書かれた当時とほとんど変わっていません。

その意味からも、サラリーマンだけでなく、
将来給料を支払うようになる方にとっても
参考になる本だと思います。

本当は税の専門家である我々税理士が
こういった内容の本を書かないといけないのでしょうね・・・。


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【この本から学ぶズルと工夫】

サラリーマンに経費は無い。給与所得控除とが認められるのみで、
大多数は年末調背で思ってしまいます。

ところが実は、特定支出控除というものがあれば、
サラリーマンでも確定申告して経費を認めてもらえるのです。

給与所得者の特定支出控除(国税庁HP)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1415.htm

本書の第5章では、給与所得控除と特定支出控除の問題についても
詳しく述べています。

しかし。。。この特定支出控除の制度を使った人は
平成20年に全国で6名しかいません。
もちろん私も、この用紙すら見た事がありません。。。


って、これじゃズルにならんかw