では、今は不要なのかと言えば、そうではありません。何故なら情報は多い方が治療の正確度が増すからです。僕は、現在の基礎体温表の役割は医師と患者の「交換日記」だと思います。患者は体調を書き医師は超音波所見や薬剤を書く。特に便利なのは日付けです。不妊治療では先の予定を考えることが多く、この表に書き込むと頭が整理しやすいのです。
よくスマホにつけているから良いと思っている方がいますが、これは役に立ちません。医師が書けないからです。それと、紙にお互いに書くという暖かいアナログ感は貴重だと思います。
「体温をつけることがストレスになる」という方がいます。その通りだと思います。そういう方は、飛び飛びでも良いし、温度はつけなくても良いです。ただ、日付けと生理マークだけはつけて持ってきて欲しい。基礎体温表を持参しない患者さんが来ると、僕は戦意喪失します。120%の力が出ません。そういう最低限のことさえしない方は、本当に自分で戦う意思が無いと思うからです。不妊治療はまず患者さんのやる気が無いと絶対に成功しません。