一年前、この場所で彼女と別れた。
いつもと、同じように居酒屋で飲んだ後、屋台でラーメンを
食べて僕の家にタクシーで帰ろうとしていた僕に
彼女がいきなり別れ話を持ちかけてきた。
突然すぎてなにも言えないまま僕たちは別れた。
雪が舞い落ちるこの場所で・・・
あれから一年、僕はあの時と同じ場所にいた。
あのときと同じように雪が降っていた。
何かを期待している訳ではない、ただ自分の気持ちを整理
したかった。
ただそれだけのために・・・
すると僕と同じように舞い落ちる雪をどこか悲しげに見つめてる女性が
僕の隣にいることに気が付いた。
彼女だった。
僕は勇気をだして、一年前には言えなかった言葉を掛けた。
「どうして・・・」
彼女は答える。
「―- わかんない。ただ貴方の気持ちを確かめたかった。ただそれだけだったのかも・・・」
僕は新しい恋が始まる予感で胸が高まり思わず彼女を抱きしめた。
降りしきる雪の中で。
一斗