③ 立ち向かおう! と決心する | 山あり谷あり、カーブあり

山あり谷あり、カーブあり

家でも仕事でも一緒に頑張ってきた夫と妻のブログ

ブログや掲示板などを通じて、同じ癌と戦う方々からも

情報を頂く機会が、少しずつ増えていった。

ある方からのご紹介で、免疫治療クリニックのドクターと

お会いしてお話しを伺ったり、癌の患者会に入会し、癌治療の

先端医療に精通しておられる先生とコンタクトと取らせて

頂いてアドバイスを頂いたり、私の弟が調べてくれて入会した

癌サポートコミュニティーからもまた、勇気が湧くお声がけを

頂いた。

治療に対する考え方は、千差万別。 自分たちの患者力を養い、

そして直感を信じ、そして治すのだという気持ちが湧いてきた。

ゆっくりではあるが次第に、当初の「孤独で絶望感に囚われた

残り少ない日々」 から脱皮して、「希望を捨てずに戦う日々」

へと、少しずつ心が変化していった。


こうした日々の途中で、夫の癌が「ALK陽性非小細胞

肺がん」という、珍しいタイプの肺癌である事が判明した。

とにかく進行が速く、抗がん剤も効きにくい、やっかいな癌

だと言われる。 ・・がしかし、このALK 陽性非小細胞肺がん

という、全ての肺がん患者の中で、たった4%しか居ないこの

にのみ、効果を現すという新薬「ザーコリ」 が、2012年

9月~10月にかけての治験「第III相試験」で、優れた臨床

効果を出したと発表されたのだった。


そんなに素晴らしい薬なら、効かない抗がん剤を試すより

先に、そのザーコリを使って欲しいと、すぐさま先生に

申し出た。 

夫は、これまでもとても運の強い人だった。

彼と結婚して26年、ハプニングにだけは事欠かない

結婚生活だったと思う。 時には大ピンチに襲われ、

だがしかし、いつもギリギリのところで、切り抜けてきた。

そんな夫が、突然に癌を宣告され、しかもALK肺癌という

進行が速く抗がん剤も効きにくい癌、すでに全身に転移して

いて手術も不可能・・・・という、人生最大の大ピンチに

見舞われた。 だが、そのALK肺癌に劇的な効果を表す

という新薬が、このタイミングで現れた・・・というのは、

単なる偶然ではなく、「大きな意味」があるのではないか?

神様は、またもやギリギリのところで、救いの手を

差し伸べてくれようとしているのではないか?

どうか、どうか・・・・そうであって欲しい。



だが、ここでも先生からは、一旦「待った」をかけられた。

臨床データが少なすぎて、第一選択にこのザーコリを使うのは

リスクが高い、と仰る。

リスク、リスク、リスク・・・・・慎重なのは大切だが、貴重な

チャンスを逃してはいないのだろうか!? という焦りばかりが

つのる。


初回の治療は、タキソール、カルボプラチン、アバスチンという

三種の抗がん剤であった。

癌細胞を攻撃すると同時に、自分の免疫にもダメージを与えて

しまうと言われる化学療法だが、幸い副作用もとても軽く済み

髪こそ抜けてしまったが、わりと元気なまま切り抜けることが

出来た。


11月6日、抗がん剤投与から2週間が過ぎ、CT画像を撮った。

原発巣の肺癌は、だいぶ小さくなっていた。 喜んだのも束の間

転移先の肝臓の方は、前回(9月)の6.2cm ⇒ 6.5cmへと

僅かながら拡大していた。


「ザーコリに、移行してみましょう・・・か?」

いよいよ、先生が仰った。


11月19日、再入院。 翌日からザーコリ服用がスタートした。

それに先立ち、先生からはこの薬による副作用と心構えの説明

がなされ、激しい吐き気、下痢、目の障害を起こす可能性、

重篤な副作用として、肝機能低下、間質性肺炎など・・およそ2%の

割合で命を落とす可能性もあるなどの説明を受けた。


11月21日。 今のところではあるが、夫は至って元気だ。

人によっては最初の1錠を摂取して1時間も経たずに激しい副作用が

起きるとの事だったが、どうやら・・・それは大丈夫だった。

とはいえ、まだたった2日目を過ぎたところ。

まだまだ安心はできないが、とりあえず前向きに捉えようと思う。