先日お伝えした金融サミットでIMFで検討すべきとされた『トービン税(全ての国際金融取引に課税)』案ですが、やはりIMFには賢者がいるようで。。





金融取引への「単純な」課税はうまく機能しない=IMF専務理事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091002-00000749-reu-bus_all




”国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は2日、金融取引に課税すれば良いという「単純な」構想がうまく機能するとは思わないがシステミックリスク対応のため金融機関から資金を拠出させるという案については引き続き検討を続けると述べた。


 同専務理事は、IMFがこうした特別な資金拠出案についての報告書をG20に提出する準備を進めることも明らかにした。IMF年次総会開会の会見で述べた。


 また、中国の人民元について、IMFは過小評価されているとの認識を持っていると語った。”




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まぁ課税案の実務上の膨大な作業量、管理の煩雑さ、しかし現実的な効果は見込めない、結局、国際金融取引を不当に縮小させるだけになるだろう・・・等々考えれば常識的にこういう結論でしょう。




一方で、ここで検討するとされている「資金拠出案」についても、それだけで実務的にシステミック・リスク対応できるとも思えません。これも含めて、本当に実効的な案としては:




(真の意味での)国際決済銀行を作る




ことを提言したいと思います。ここで言う国際決済銀行の機能とは:




1) 主要国中央銀行及び主要銀行(いわゆる、マネーセンターバンク)が同時に参加し、



2) 主要通貨について、



3) 24時間、リアルタイムでグロス決済を行う(RTGS)、



銀行を意味します。言葉だけで言えば既に国際決済銀行 Bank for International Settlements, BIS は存在します。あの、BIS規制で有名な国際機関、ですね。概要については以下をご参照:



<日本銀行ホームページ>


BIS(国際決済銀行)とは何ですか?

http://www.boj.or.jp/oshiete/intl/07202001.htm




しかし、実際にはこの銀行は中央銀行同士の銀行機能しかなく、民間金融機関については結局、各通貨を発行する各国中央銀行で(日本円だと日銀、米ドルだと連邦準備銀行、など)、各々決済しなくてはなりません。金融実務では既にリアルタイムの信用リスク管理に移行しつつあり、このため、各国中央銀行ではRTGSを導入ないし導入予定となっていますが、制度がバラバラであれば非効率です。




検討される拠出金案も、こうした真の意味での国際決済銀行での決済を保証するための準備金的取扱をすれば機能するでしょう。




ついでに言えば、現行のBIS規制もこの銀行に参加するマネーセンターバンクにのみ適用し、それ以外については規制緩和することで国内融資取扱にも好影響を与えることが出来ます。(色々騒がしいモラトリアムも議論不要となる)




本来、金融大臣にはこの位の発想と国際的な提案力が求められますが。。。まぁ、亀井さんじゃあ期待してもねぇ。。