コッレピーノの古城へ | chewy-cyui.com

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イタリアで出逢ったこと、日本で出逢ったこと。

「コッレピーノの近くにあるモリーノ・ブッチッリという場所があるんだ。正直言って僕もしばらく言っていないから正確な道順をおぼえていない。でもすごく素敵な場所だから行ってみようか。」

2日目の朝、エンリコが提案してくれた。

<モリーノなんちゃら>についてはよくわからなかったけれど、<コッレピーノ>という単語に反応した私。

「行きたい!コッレピーノも近いの?ずっと行ってみたかったけれど、結局一度も行ったことがない場所なの!」

そう即答すると、エンリコは驚いた顔をした。

 

私にスペッロとの縁がうまれたきっかけは、この地に住まうオリーブオイル生産者のところへインターンシップに来たことだ。

食科学大学大学院のインターンシップを探している際に「日本に将来輸出したい生産者がいて、日本人に来て欲しいと言っている」とこの生産者を紹介され、見ず知らずの場所に、見ず知らずの人を訪ねてはるばる来たのだった。

 

エンリコは、そこで当時働いていた同僚だった。

私はその冬の2ヶ月間、オリーブオイルのホームページを翻訳して日本語版を作成した。その際、初めて聞く地名、製造法、制度などとたくさん出会い、ひとつひとつ調べて咀嚼して、日本語に訳していったのだった。

 

その中で、このオリーブオイルが育てられる「土地」の紹介文があった。

 

「イスペッルム社のオリーブ畑は、スペッロの丘に広がっています。この丘はコッレピーノの古城へとつづく道の途中に、さらにヴァッレグローリア修道院のすぐ近くに位置しています。この修道院は、教皇アレクサンデルⅢ世による1178年の教皇勅書の中に言及があり、そこでは樹齢1000年にもなるオリーブの木の存在が報告されています。」

ーHispellumホームページより:http://www.hispellum.com/jp/territory

(販売はこちら

 

このコッレピーノがどんな場所かインターネット上で調べつくそうとしたのだが、結局わかりやすく詳細を知ることは難しかった。インターンシップの期間、私は土日が来るたびに、どこをまわろうか計画を立ててしらみつぶしのように歩きまわった。地図を片手に可能な限りどこでも歩いたけれど、それでも行けない場所がある。地図をながめる限り、私にとってコッレピーノはそんな場所のひとつだった。半ばあきらめ、優先順位を下げていたのだった。

 

 

それではまずはコッレピーノへ行ってみようという話になり、

高鳴る思いを胸に、いざ出発!

 

 

 

「イスペッルム社のオリーブ畑は、スペッロの丘に広がっています。

 この丘はコッレピーノの古城へとつづく道の途中に(中略)位置しています。」

 

という文からもわかるように、森が拓けて見えてくるのは、一面のオリーブ畑。

あとで、このイスペッルム社のオリーブ畑の近くもとおってもらえるように約束して、車はびゅんびゅん走る。

 

オリーブ畑

 

最高のドライブ!!

 

あっと言うまに駐車場らしき場所に到着し、車を降りた。

「ここが入り口だよ」とエンリコ。

 

 

小さな町のなかを、ただただ歩いて散策する。

入ってすぐに見えるこのレストランは、とんでもなく美味しいらしい。スペッロや近隣の町からも、皆がわざわざ足を運ぶとか。季節の料理を出しているそうだ。

次の機会にはここへ来ようね、と約束をした。

 

 

それから一服。

 

誰もいない初めての田舎町で、ほっと一息をつく。

エンリコとジャンパオロは、ときどきここに来て気分転換をするんだって。

 

 

 

田舎道を車をとばして約10分。

閑散としているのに、なぜか美しい町。

 

 

自分の生まれ育った町を、愛おしく思えることって素敵だと思う。

無意識であったとしても、人生を愛おしんでいる様子が伝わって来て、この町のひとびとは私にとって魅力的なのだ。

 

そうそう、先の「土地」の紹介文はこんな風につづいていた。

 

「神秘的で美しい自然、恵まれた豊かな伝統のある歴史、景観地域や歴史的建造物などの遺産は、ルネッサンス期の画家であるピントゥルッキオの描く風景と色彩に多大な影響を与えています。」

 

 

ここの庭が美しくていいなあとエンリコは思っているんだって。

写真の撮り方、私が失敗したけれど。

 

 

 

 

 

町中を散策していたら、あっという間に1周して観光がおわってしまった。それくらい小さな小さな町なのだ。

スペッロに住む多くの人が、ここに別荘のように家をもちたがるそうだ。

町中にとけこんだように歩いていると、その気持ちもよくわかる気がする。 

 

 

ここを訪れたのは2016年8月26日、ちょうどアマトリーチェの大地震の数日後だった。地震の影響は大丈夫なのか尋ねてみたところ、ここは1997年に大地震があって大きな被害を受けており、その後修復してかえって防災対策ができた造りになっているとエンリコは答えてくれた。

 

 

こんな風景も見ながら...

 

 

そう、

 

「イスペッルム社のオリーブ畑は、スペッロの丘に広がっています。この丘はコッレピーノの古城へとつづく道の途中に、さらにヴァッレグローリア修道院のすぐ近くに位置しています。この修道院は、教皇アレクサンデルⅢ世による1178年の教皇勅書の中に言及があり、そこでは樹齢1000年にもなるオリーブの木の存在が報告されています。」

 

ヴァッレグローリア修道院が見えているのだ。