大型歴史電視連続劇「孔子」
テーマ:ブログ
皆さん、こんにちは。
中国に来てから、早い様な長い様な心身共に
充実した日々を過ごしています。
大変長らく更新が遅れてしまいました。
ごめんなさい。
今回から、数ヶ月のあいだ中国からお便りしていきますので、ご了承を。
こちらに来てから、連日撮影の忙しさと心の余裕のなさと、
持参したPCのフォントが何故かこのブログ作成欄に対応していなかったりで、
少し、というか、かなり焦っていました。
取り急ぎ、今回は日本のスタッフにメールと写真を送って、
それを記事にあげてもらっての更新になります。
早く、問題を解決して自分で更新出来る様に頑張りますので、
幾分読みづらい部分があるかとは思いますが、どうかご容赦下さい。
さて、日本では「論語」で有名な孔子、
彼の生涯を描いた連続ドラマ、
「孔子」に愛弟子、顔回の役で出演しています。
中国、香港、台湾、韓国、日本の合作になる今回の連続ドラマ「孔子」。
制作を担当する中国の電視台(テレビ局)の力の入れ具合は半端ではなく、
本当に毎日が驚きと緊張の連続です。
まず、驚いたのは規模の大きさ。
撮影クルーは見た所、総勢200名とちょっと。
だだっ広い原野にいくつものオープンセットが建てられ、
(大きな村一個がまるまる建てられたりします)
何頭もの馬が駆け回り、馬車が列をなし、
戦争のシーンでは何百を超える兵隊が隊列を組んで、
地響きがするほどの勢いで迫って来て、
本当に孔子の時代にタイムスリップしてしまったのかと勘違いしてしまうほどでした。
今回の撮影は、最近日本でもヒットした「赤壁」の撮影現場にほど近い場所でやっていて、
場所的にいうと北京のお隣、河北省の映視城という所を基地に、
スタッフ、役者共にその近くにある大きなホテルを一棟まるまる貸し切って、
それこそ毎日朝から晩まで撮影に明け暮れています。
映視城。英語に直訳すると、TV and FILM center、
という名前の高速道路のインターチェンジがあるくらい、
街ひとつを撮影専用にしてしまう中国。
実はそんな街が中国全土にいくつもあるらしいです。
横店という、ここからもう少し内陸に行った所にある撮影街では、
かのジャッキー・チェンが新作の撮影を先日終えたばかりらしく、
なんかでっかいなぁ。さすが大陸って感じだなぁ。
アメリカでいうハリウッドがいっぱいあるようなもんかぁ。
とおもわず感心してしまいました。
以前、中国に映画の撮影に行ったことのあるお友達の俳優さんから、
中国での大変さをたくさん聞かせてもらいました。
言葉の違い、撮影方法の違い、民族の違い、
どれを聞いても身の毛がよだつほど本当に「大変」そうだなぁ・・と思っていました。
でも中国に来てみて確かに、体力的にも精神的にも滅茶苦茶に大変だけど、
それ以上に僕が身に染みて感じたのは中国の人たちの心の温かさでした。
撮影総監督をはじめ、他の役者さんや、大勢のスタッフの方々は、
北京語(中国の標準語)のあまり喋れない僕を本気でよくして下さって、
今も書きながら思いだすと涙が出てくる思いです。
十数名いるメイクさんたちは、
僕とのコミュニケーションを通訳なしでも出来るようにと
「おはよう!」「メイク、オーケーです!」「ありがとう!」「ご苦労様です!」
などの日本語をそれぞれ氷点下のロケの寒さで震える手でメモにとって、
一生懸命に覚えた日本語を話してくれています。
衣装さんたちも、昨日の撮影が終わって着替えてる時に、
「謝謝」(シェシェー、ありがとうの意)と僕が言ったら、
みんなどこで覚えたのか「どういたしまして」と
少しはにかんだ笑顔で口々に言ってくれたのには、びっくりしました。
孔門十哲(孔子の十人の愛弟子たち)のメインどころの役者さん、
特に、子路、子貢、宰予役の中国や香港のスターさんたちは、
言葉の拙い僕が一人で現場に孤立することのないように、極力英語で話してくれたり、
弁当や待ち時間を過ごすときには僕の周りにわざわざ集まってきてくれたり、
持参したお菓子や飲み物を自分が食べたり飲んだりする前に、
僕に「いいから食え!」と勧めてくれて、
本当にみんな優しいな、有り難いな、と感謝しています。
論語のなかでも恰幅がよくて、少し粗暴な印象のある子路。
今回の子路役の俳優さんもまさにそんなイメージにぴったりの方で、
彼は、本当に嬉しい事に僕のことを弟のように気にかけてくれている様です。
待ち時間が長くなると、いつも僕に「散歩にいくぞ!」といって半ば強引に
風が吹く地平線の美しい荒野に向かって歩いていってしまいます。
僕は覚えたての北京語で
「哥!!冷!!冷!!」(ゴー!!ロン!!ロン!!兄さん!!寒いよ!!)
といって追いかけるのですが、
「不冷!!」(プー・ロン!!寒くない!!)
といって聞いてくれません。
今回、基本的に僕しか日本人はおらず、
マネージャー代わりの役目は通訳の張さん(チョウさん)という
中国の俳優さんが芝居の説明から身の回りの世話までしてくれていますが、
そんな張さんや、他の俳優さんの「大丈夫かな?」という心配もよそに、
子路は「早く来い!!」と頑固に歩いていってしまいます。
彼との会話は本当に片言。
無言の散歩。
聴こえるのは風の音と、ふたりの雑草を掻き分ける足音と、
はるか遠くに聴こえる撮影隊の怒号。
普段だったら、言葉を押し殺したままの散歩なんて居心地が悪いかもしれない。
でも、僕はそんな子路との夕暮れのふたりっきりの散歩の時間を尊く思います。
彼は心のなかで、
言葉は通じなくても俺たちは通じてるんだぞ、友達なんだぞ、
と言ってくれてる気がして。
冗談ばかり言ってて荒っぽい印象があるけれど、心が凄く美しい人なんだなって。
だから、彼は今回子路に抜擢されたのだろうと思いました。
制作費はゆうに10億円を超えるこの作品。
彼だって、中国のスターなのに、日本から一人で海を渡ってきた僕の身を案じてくれて、
寂しい思いをさせまいと一生懸命になってくれている。
ポン、っと彼に肩をたたかれて
「下を向くな、地平線を見ろ」とゼスチャーしてくれる。
「行くぞ」と肩を抱かれて、また二人無言で歩く。
言葉は通じないけど、僕たちは「芝居」という言葉で会話している。
「演劇」という共通の言葉で、つながっている。
僕は「顔回」という偉大な人を縁があって、演じることになって、
今、この極寒の地に渡って来ました。
最初は一人で頑張るんだって、思ってたけど、違った。
子路が、自分と僕とを交互に指さして「トモダチ」って言いました。
散歩を終えて、みんなのところに戻った子路は北京語で、
何やらみんなに向かって得意げに叫んでいます。
みんなは、はははって笑いながら僕の方を見て何かの同じ単語を
それぞれ、頷きながら繰り返している。
「何ていってるんですか?」
通訳の張さんに聞いたら、
「みんな、あなたのことが大好きなんですね、
僕たちもトモダチだ。こいつだけじゃないって言ってますよ」
嬉しくて、込み上げてくるものがありました。
「いしださん、これも日中友好ですね」
この「孔子」という仁と道徳を世界に広めた人物を描く作品に関われて、本当に良かった。
今、高景気に沸き返るアジアの人たちに向けて、
何か忘れていることはありませんか?
という疑問を投げかける、大型歴史連続ドラマ「孔子」。
ここにいれた事に感謝します。
明日は「トモダチ」の北京語を教わろう。
ありがとう。
また。
壱成
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