最後のメッセージ | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「彼の気持ち」の続きです。>

空港へ向かう途中の乗換駅で
河原さんにメールを入れる。

その直後に携帯が鳴った。

まるでわたしからの合図を
待っていたかのように。

見送りの両親と一緒にいたわたしは
あわてて離れた場所に移り、
その電話を受けた。

「気をつけてね」

「うん」

そんな短い会話だけ。

本当は何かもっと特別な言葉が
聞きたかった。

でも多分、彼のまわりには
ひとがいる。

わたし自身も駅のホームの
ざわざわとした騒音の中にいた。

物足りない気持ちを残したまま、
電話を切る。

代わりにそれからの数時間、
メールのキャッチボールが続いた。

成田エクスプレスの中。

空港での待ち時間。

冗談を交えながらの
楽しいメールだった。

こんなふうにリアルタイムで
彼を感じることが出来るのも
残りあとわずか。

日本にいられる最後の時間を
彼と共有出来ることに感謝した。


$秘密の28年☆赤い糸の行方


搭乗2時間前。

日本の携帯から最後に
送ったメッセージ。

「また来年戻ってくるね」

そう言い残すと、わたしは
彼への溢れる想いを抱きしめながら、
出国審査への扉をくぐった。

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