<「彼の気持ち」の続きです。>
空港へ向かう途中の乗換駅で
河原さんにメールを入れる。
その直後に携帯が鳴った。
まるでわたしからの合図を
待っていたかのように。
見送りの両親と一緒にいたわたしは
あわてて離れた場所に移り、
その電話を受けた。
「気をつけてね」
「うん」
そんな短い会話だけ。
本当は何かもっと特別な言葉が
聞きたかった。
でも多分、彼のまわりには
ひとがいる。
わたし自身も駅のホームの
ざわざわとした騒音の中にいた。
物足りない気持ちを残したまま、
電話を切る。
代わりにそれからの数時間、
メールのキャッチボールが続いた。
成田エクスプレスの中。
空港での待ち時間。
冗談を交えながらの
楽しいメールだった。
こんなふうにリアルタイムで
彼を感じることが出来るのも
残りあとわずか。
日本にいられる最後の時間を
彼と共有出来ることに感謝した。
搭乗2時間前。
日本の携帯から最後に
送ったメッセージ。
「また来年戻ってくるね」
そう言い残すと、わたしは
彼への溢れる想いを抱きしめながら、
出国審査への扉をくぐった。
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