ベイサイドホテルにて6 | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「ベイサイドホテルにて5」の続きです。>

「なんかまた感じてきちゃった」

「じゃあしてあげる」

背後から抱きしめられた。

この姿勢に弱い。

彼の手が静かに肌の上をすべっていく。

触れたか触れてないかの
軽いタッチを何度も繰り返される。

その微妙な手の動きに、
何度も躰がのけぞった。



感じる。

逝きたい。

限りなく、逝けるに近い状態。



でもそんなに簡単に逝けないことは
自分でわかっていた。

逝くためには、もう少し時間が必要。

彼にそれをかなえてもらうのは
無理だろう。

もう十分。

これでいい。

いつものように逝くふりをして、
彼を解放してあげた。



また逝けなかった。

だけど満足。

心地よいカイカンにひたっている
わたしをひとりベッドに残し、
彼が立ち上がる。

暗闇の中。

外の灯りに照らされて、
シルエットが浮かび上がる。

50歳前の男とは思えない。

無駄な贅肉が落ちた身体。

なんて美しいんだろう。

「レインボーブリッジが見えるよ。
来てごらん」

ゆっくりと起き上がろうとして、
下腹部を何かが流れていくのを感じた。

あ。

「行きたいんだけど行けないの。
立ったら出て来ちゃうから」

恥ずかしさを笑いでごまかす。

「あ、そうなんだよな。
シャワー浴びて来たら?」

「うん、そうする」

そばに置いてあった
バスタオルをつかんで、
浴室へ飛び込んだ。

$秘密の28年☆赤い糸の行方

身支度を終えて部屋に戻ると
彼も着替えたあとだった。

窓際に腰掛けて、ぼんやりと
夜景を眺めていたわたし。

その横で彼が何やらごそごそと
やっていた。

鞄からカメラが出て来る。

「あたしも持って来ていたんだ。
忘れてた」

ふたりして同じことを考えていたことが
うれしかった。

「ホテルの部屋で撮って大丈夫かな?
洋服着ているからいいね」

万が一、見つかったときのことが
脳裏をかすめた。

このときはまだ、
見られてはいけない相手には、
どんな写真でも問題になる
という認識はなかった。

「レインボーブリッジ入るかな」

そう言いながら、小さな
卓上用の三脚をとりつける彼。

「窓に反射しちゃって難しいかも」

「なんとなく写るからいいよ」

背景なんてどうでもよかった。

ちゃんとふたりで写っていれば。

「タイマーある?」

「うん」

最初はわたしひとり。

次にふたり一緒に収まった。

後日、彼から送られて来た写真。

そこには自分で見ても、
すごくお似合いのふたりが
幸せそうに写っていた。

(続く)

ランキングに参加しています。
クリックして応援していただけると
うれしいです。↓

にほんブログ村 恋愛ブログ 不倫・婚外恋愛(ノンアダルト)へ
 にほんブログ村


不倫・婚外恋愛ブログ
ありがとう! また遊びに来てね