ベイサイドホテルにて5 | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「ベイサイドホテルにて4」の続きです。>

それは今まで彼とした中で、
一番強いカイカンだった。

「こっち見て」

つぶっていた目を開けて
彼の顔を見る。

彼も苦しそうにこちらを見ていた。

そのまま目を開けていようとしたけれど、
それ以上は無理だった。

激しいキスで唇を塞がれた。



逝けそう。



今度こそ本当に逝けると思った。

あともう少し。

そこで彼の躰が崩れ落ちた。



本当にあともうちょっとだったのに。

悔しく思いながら、
体重の重みを受け止める。



彼の方はちゃんと逝ったのだろうか。

「逝ったの?」

「わからなかった? ごめんね」

そういう意味で聞いたんじゃなかったのに、
こっちこそごめんね。

ふたりが付き合って来て、
そのまま中で受け止めたのは、
初めてのはず。

「うれしい」

そう言った後、冗談まじりに

「もう一回して」

とおねだりしてみた。

「一回しか出来ません。50歳に二回は無理」

「まだ50歳じゃないよ」

「もうほとんど50歳だよ。
だんだんタタナクなってきてるし」

「でもひとりでするときは
最後まで逝くんでしょ?」

「うん、逝くね。でもする回数は減って来たな」

「えー! そうなの?」

「うん」

「ゆりなのこと考えてしてくれないの?」

「するよ、する。ゆりなは
オレのXXXXのこと考えてして」

「えー! XXXXは考えなくても
いいでしょう」

「ジムへ通い出して体重が減り始めたら、
セイヨクも減って来た気がするんだよね」

「そうなの?」

「身体を鍛えるようになって
変わって来たんだ」

「ふーん」

そんなものなのかな。



とりとめのない話が続いたあと

「少しおなかがすいてきた」

彼がぼそっと言う。

わたしはまだ食欲にはいけないわ、
と心の中でつぶやく。

言いたいことがあったことを思い出した。

今、言わないともうチャンスは
ないだろう。

目を閉じてじっとしている
彼に向かって話しかけた。

「ちゃんと言いたいことがあるの。
『いい男』でいてくれてありがとう」

「そう? いい男?」

「うん。いい男じゃなかったら、
抱いて欲しいなんて思わなかった」

「ゆりだっていい女じゃん」

「ほんと?」

「スタイルいいし」

「よくないよ」

「脚細いし」

「脚は…そうかなぁ」

「可愛いし」

「うーん」

あんまり同調出来なかったけれど、
逆に反対ばかりしているのも気が引けて、
曖昧な返事をした。

「同級生とかすごいおばさんだったりしない?」

「そうかなぁ。まぁそういう子もいるかな。
でも仲のいい友だちは若いよ」

そう言えば、この間も同級生について
同じことを言っていた。



いつの間にか彼の手が
わたしの背中に置かれていた。

背中の上部からヒップのあたりまでを
ゆっくりと何度も往復する。

わたしの神経はすでに
その手の動きに集中していた。

(続く)

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