(2009年3月6日 Le Figaro より)
過度の飲酒により病院に搬送される15歳以下の未成年の人数が2倍以上になっている
危惧すべき事態が起こっている。若者の飲酒が加速していることである。
これが先の国民議会で、入場料を払えば、あとは飲み放題のシステムを採用するバーの
禁止を決定させた理由でもある。
この法案の決定で、病院に搬送される若者の増加に危惧を抱いていた医療関係者は
胸を撫で下ろした。この増加は未成年にも当てはまる。
昨年の数値を見ても、この増加は爆発的増加といえる。
15歳以下で、病院に搬送された若者の人数は2004年から2007年にかけて50%も増加した。
(公式に把握されているだけでも786件から1226件へ増加)
こうした状況はフランス全土に広まっている。
ニースにある中央大学病院では、こうした事件が年間10件から50件へと増加した。
「数年前からこうした事件が増え始めました。」
救急小児科の責任者 エルベ・アス氏(Hervé Haas)は心配ながらにこう語った。
先月は14歳から15歳の女子中学生5人がこの病院に搬送されている。
ことの経緯はありがちはものだった:
この生徒たちは学校のクラスが休講になったのを機に、店に駆け込みテキーラを買った。
一時間後、次の授業が始まる頃には、彼女たちは既に泥酔状態だったという。
エルベ・アス氏によると「その内の一人は昏睡状態に陥っていた」らしい。
「こういった事件は益々若年化傾向にあり、私は既に11歳の子供の看病をしたこともあります。」と言う。
このような事態は一向に改善する見込みがない。
というのも、アス氏が言うには、防止するのが困難だからだ。
「これらは氷山の一角にすぎません。我々が把握できているのは、
報告された重体患者のケースのみなのです。」
マン(Le Mans)の中央病院でもこうした事態に警戒のアラームを発信している。
「我々の病院では若者の飲酒による搬送が年間で10件から100件へと増加しています。」と
状況の悪化を危惧しているのはミッシェル・ダマイ医師(Michèle Damay)。
カクテルの新幹線TGV:テキーラ・ジン・ウォッカ(tequila-gin-vodka)
ニースの中学生の事件とは裏腹に、救急隊はこの事態を必ずしも深刻であるとは考えていない、
とアス氏は考えている。しかしながら、泥酔した若者が路上で救急隊員に発見されているのだ。
「夜に仲間が昏睡状態に陥れば、彼らは仲間内でそれを切り抜けようとするそうです。」
と若者の泥酔事件が頻繁に起きているこの事態の深刻さを口にする。
「彼らは夜出かける前に、お酒で身体を温め、それから素晴らしきTGV(テキーラ・ジン・ウォッカ)
をがぶ飲みしているのです。」
それでも、最後に行われた2006年の調査によると、事態は少しだけ改善したのか、
事件件数の伸びが鈍くなった。一方で習慣的なアルコールの消費は増加している。
エスパ(Espad)が4年に一度、ヨーロッパの16歳を対象にして行うアンケートによれば、
13%のフランス人がここ1ヶ月で最低でも10回以上飲酒をしたと回答している。
2003年に行った同調査では7%であった。
また、消費傾向に変化が見られることも注目に値する。
こういった問題は裕福な家庭の中学生にとって重大であるという点だ。
オート・ノルマンディー(Haute-Normandie)の地域健康調査で分かった報告によると、
優先的教育地域(ZEP)の方が、アルコールを摂取したことのない子供が多かったという
調査結果が出た。
(ZEPでアルコールを摂取したことがない子供の割合は52%、一方ZEP外では32.5%)
【Leycoのコメント】
先日フランスでは、オープンバー(入場料を払えば、バーの中では飲み放題)を
禁止する法案が可決し、話題になった。
以前、このブログでも未成年への禁酒対策に関する記事を載せたことがある↓
政府による未成年への禁酒対策が加速しているようだ。
補足になるが、
記事の中で登場した「優先的教育地域(ZEP)」これはフランス語で
zone d'éducation prioritaire といい、貧困などの理由から、進学率の低い地域へ
政府が教育強化策を投じると指定した地域のことだ。
【今日の情報ソース↓】