クジラに乗ってやって来た先祖を持つ少女、

その少女の祖父である小さな村の族長は族長を継ぐ者は男と

かたくなに守ろうとします。

そんな少女とクジラの島の伝統の物語。


伝統っていうのは、守ることは大切だけど、

内容によってはかたくなに守ることが現代に適応できないことも多々あり…

とても難しいことだと思いますね。


で、この映画、伝統をかたくなに守ろうとする祖父、

経緯ははっきりとは分からないけど、伝統から抜け出た息子、

そして女だけど伝統を継ぎたいと思っている少女という、

まさに世の中の流れのような構図かなって思います。

時代も変わり伝統もそれまで通りに受け入れられなくなる、

でも、再び見直され、いくらかの改善などによって受け継がれていく。

そんな感じで良い方向へ向かえばいいと思います。


ラストは少女が後継者として認められた船出の儀式のようなシーンです。

その儀式では、村の男女が伝統的な衣装に身を包み、

顔にも刺青のような模様を描き、力強い踊りを踊ってます。

このシーン結構好きです。

海外で暮らしている少女の父親や、

普段は不良のようで、何してるかも分からないような村の男たちも、

この時には真剣に踊ってるわけです。

船を漕ぐ人たちも伝統的な衣装を着たりしてるわけですが、

中にはニット帽をかぶってたり、サングラスをかけてたりして、

そんなとこが現代っぽいなって思って面白かったです。


少女が浜に打ち上げられたクジラに乗り

クジラを海へ導くシーンはなんだかとても不思議な感じがします。

「死ぬのは恐くなかった」

とクジラに乗ったまま海へと潜っていく少女はなんとも言えず…

この少女が、なんともけなげでいい子なんです。

祖父に冷たい扱いを受けても、祖父のことを思い続ける姿、

だからクジラに乗っていくシーンはすごくせつないです。


少女もですが、その祖母など、強い女性の姿もかなりあったと思います。

一つのことしか見えない男に対してコントロールしてる感覚。

「実験は私が」と祖母も言ってました。

伝統は女性が守ってるのかもしれないです。


★★★☆☆


この女の子、主演女優所にノミネートされました。

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