「残土みかん園」論争に終止符を! | 館山市議会議員「石井としひろ」のブログ

「残土みかん園」論争に終止符を!

東京都や神奈川県の、マンション建設現場など多数の場所から残土を持ってきて、その処分代で儲けて、儲けたカネを原資にしてみかん園を作ることを、「残土みかん園計画」と言います。

結論から申しますと、残土は残土処分場問題として論じることであり、みかん園は単体で赤字か黒字かの営業の話であり、両者は別物で、「残土みかん園」と一緒にまとめるのが間違いです。

残土処分は所詮、ゴミと同じように不要なものを捨てるだけです。産廃処分場と同じく、処分代で稼ぐものです。

みかん園は、採算が取れるなら民間企業が勝手にやるだけの話であり、場所も耕作放棄地でもどこでもよい話であり、わざわざ生産性の悪そうな残土を使ってやる必要はありません。


結局のところ、なぜ「残土みかん園」なる言葉があるかというと、ただ迷惑施設にすぎない残土処分場を作ると言うと当然、近隣住民が反対するからです。

残土業者や地権者など残土推進派は、反対住民を説得する為に、「いや、単に残土を捨てるだけではなく、残土の上にみかん園も作る計画なんだ。みかん園は観光スポットになり、地元経済活性化につながる。残土は嫌だろうけど、総合的に見れば地元にとっていいことなんだ」という持論を使います。

坂田の残土問題に関わり始めた時、私は推進派の方々によく聞きました。「生産性の悪い残土の上につくったみかん園は黒字になるのですか?赤字の事業で、経済活性化はありませんよね。」

そうしたところ、1人も黒字になると言った人はいませんでした。推進派はお茶を濁して、赤字だろう、とは言いませんでしたが、常識的に考えて赤字でしょう。

坂田の残土業者は、館山市内の出野尾という場所で、いわゆる「残土みかん園」を経営しています。だから坂田でも、「出野尾でみかん園が実際に出来た。いい話じゃないか」と推進派は吹聴していました。しかし、出野尾のみかん園では、看板や広告には「残土で育まれたみかん」とは一切書きません。むしろ、「残土で作ったみかん」だという事を隠しているようにさえみえます。

推進派は、残土処分場を作る前は、「残土みかん園」は素晴らしい計画だ、と吹聴するのですが、出来上がった後、業者は単なる「みかん園」のように装って客を呼び込んでいます。

さながら、計画時点は「残土みかん園」と喧伝し残土処分場を推進し、完成後は普通の「みかん園」と残土隠しをしているように見えます。完成後も隠さずに堂々と、「残土みかん園です」と言えばいいと思うのですが、そう言うと、気持ち悪がられて食べる人が少なくなるからでしょうか。だったら、そんなものは最初から作らなければいいのに、と思います。

さて、残土の上に作ったみかん園が、残土とは別で、単体で黒字になるか、という論点は実は既に決着しています。結論は赤字です。

坂田の残土業者は、大井という場所でも「残土農園計画」を披露しています。平成16年6月27日の住民説明会での議事録から抜粋します。

大井説明会1

「現在の社会情勢を考えると新たに資金を投入して農園事業を立ち上げるには厳しい状況下にあります。従って残土搬入による事業と農園事業を一体した事業で、採算の取れるように考えております。50万m3はこの事業に必要な事業費を捻出する最低土量です。<中略>農園は一年を通じて収穫出来、又楽しめるものを考えて計画します。」


これを読むと、農園は赤字だから残土処分で黒字を出して補う、ということが読み取れます。農園は赤字で、残土は黒字ということです。

ということは、農園はやらないで、残土処分だけをするのが、残土業者にとって最も得策となります。

実際に大井では、農園は作られず、長らく放置されました。やはり、残土を捨てるだけで農園はやらないという事になったのです。結局、大井では震災後の太陽光ブームにのっかり、メガソーラーパネルが作られています。

上真倉の残土処分場計画でも、近隣住民への説明の際に、みかん園を作る予定、と言っていました。しかし、平成24年10月に残土処分が完了してから、1年以上経過していますが、その動きは全くありません。

このことから導かれるのは、みかん園は赤字で、残土は黒字ということです。

大井や上真倉の残土処分場を見ていると、坂田でも、赤字みかん園は作られない公算が大というわけですが、実際のところどうでしょうか?

【写真は上真倉の残土処分場(
平成24年4月頃)。例えるなら、醜いピラミッドといったところで、とても農園やみかん園に向いている場所ではありません。】

上真倉