人を好きになるということはとても簡単なようで、実はとても難しいことなんじゃないだろうか。



ずっとそう思っていました。



好き も 嫌い も



その人をよく知ってからじゃないと口にできない言葉だと



もし、私が思い込んでいるだけで、この人が思っている『この人』でなかったら



私は果たして、好きといえるだろうか…?



子供の頃から理屈っぽく、損得勘定で生きてきた私は



好き も 嫌い も そう簡単に口にできませんでした。



場合によっては自分を、相手を傷つける可能性のある、その言葉。



その意味の大きさに、何度も口を噤みました。



「アリスさんは、どうして私のことが好きなの。」



出会ってわずか3ヶ月、しかもオンラインゲームの中で



どうしてそう言いきれるのだろう。



どうして、私を好いてくれるのだろう。



アリスさんの『好き』を、私は疑いました。



オフ会で、出会ってしまう前に。



ただのゲーム画面上から、リアルに変わる前に。



「えっとね。」



アリスさんは照れたように言いました。



「前、好きだった人に、いしゃさんがよく似ているんです。」






声が。



息ができませんでした。



それでも指を動かして、相槌を打ちます。



引きつった笑いが漏れました。



なんだ



この人も、私を代わりにしようとしているだけなんだ。



なんだ。なんだ。



好きなのは「前好きだった人に似ている誰か」で



「いしゃ」という一個人ではなかったんだ。



アリスさんはその好きな人には告白できなかったこと



それでも友達を続けていること



リアルの女の子であること



そう、オンラインゲームというバーチャルの中で



彼は彼女の「代わり」を見つけただけだったんだ。



なんだ。



ほら、好きなんてそう簡単に口にするべきではないし



そう簡単に、受け入れるべきではないのだ。



傷ついたかもしれませんが、泣くようなことでもありませんでした。



ただ、感情がひとつ、動きを止めただけでした。



私の、リアルでの恋愛を、アリスさんは知りません。



遠距離恋愛で、なかなか会えない、手のかかる彼女の代わりをさせられているなんて、知りません。



けれど、私の、アリスさんを「特別」だと思う心は



その時点で動かなくなりました。



リアルでも、ゲームでも



私を必要としてくれる相手なんていない。



誰かの代わりでしかないんだと。



“好き”



その言葉を、その言葉の重さを、私は恨みました。





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ずいぶん期間が開いてしましました。


クリックしてくださる方、ペタを残してくださる方、申し訳ございません。


現在、「昔の話」ということで2年ほど前のことを書いており、関係ないので記事に起こすつもりはないのですが、


今度2月末、現在お付き合いしている彼ともうすぐ4ヶ月ぶりの逢瀬になりそうです。


会えない期間は寂しく、苦しくもありますが、会えるとなると浮き足立って、ただ幸せです。