魚のしめかた(魚の保存方法) | 130

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◇令和元年◇
勤めていた会社を辞め、海沿いへの移住生活を目標にした生活がスタート!
果たして、地位も名誉もお金もない男が移住を成功させることはできるのか!?

~なぜ魚をしめるのか~


活魚とは死後硬直が起こる前の魚が生きている事を表す言葉で、刺身にすると魚の身にも透き通る透明感がある。タイなどの身はあめ色などと表現し、モチモチとした弾力があっておいしい。死後硬直が始まると魚の身が白くにごりだし味も落ちる。この死後硬直を遅らせるために魚をしめるのだ。魚を食べる場合、理論的には上手にシメて活魚の状態を長くすればするほどATPがイノシン酸という核酸系旨味物質に変わっていき、魚が美味しくなるが、魚種によって〆てから死後硬直が始まるまでの時間が違うので、魚種によって美味しい時間帯は変わってくる。通常は活け〆してから数時間後、マダイの場合は1日後が美味しいなどと言われている。








~最良の保存方法~


釣れた魚は無酸素運動によって大量乳酸が筋肉に蓄積されているので、それが分解されるまでプレッシャーのかからないところで一時的に休ませる。(30分位)時間の長さは魚種によって異なるが、マダイの場合、プロは一晩イケスにいれて休ませる。また、深場から引きあげて浮き袋が膨れている場合は一番膨れている所に空気抜きを突き刺して、必要なら指で軽く押し出すように揉んで空気を出す。体側から刺す場合はウロコの下に潜り込ませるように刺すのがコツ。)


魚が落ち着いたらの段階に入る。この時にも魚をなるべく暴れさせないように手早く行う。


魚を取り出したらまず脳〆を行う。前鰓蓋(ぜんさいがい)と呼ばれる一番口に近いエラ蓋と側線の延長線上がぶつかる位置が脳になるので、そこを一突きしてやる。1発で決めたほうが魚のためにも味のためにもよい。


 脳〆が終わったら次に神経〆を行う。脳〆を終えると魚は動かなくなるが、まだ延髄からの反射は起こっていて、不規則な神経伝達を繰り返す事によりATPを消費している。魚の死後硬直はATPの枯渇によって引き起こされるので、神経〆をして神経を破壊してやることで筋収縮を抑えてやり、死後硬直までの時間を伸ばしてやる。


 神経〆はまず神経棒、ピアノ線、ステンレス棒のいずれかを用意する。しめ方には2通りの方法があり、鼻の穴から棒を刺し、脳を通ってそのまま背骨の上の神経束に棒を通していくやり方と、尾を落として尾側から棒を入れていくやり方があるが、初心者は尾から入れるほうが容易だ。棒が通ったらある程度出し入れして魚が動かなくなったら完了となる。


神経〆を終えたらエラの付け根もしくは尾の付け根を切断し10分程度海水につけて血抜きを行う。ここでしっかり血を抜いておくことでも匂いの軽減、死後硬直の遅れにつなげることができる。


ここまでやると〆は完了する。次に保存方法だが、一般的に知られている塩水で作った氷水の中に漬けこむやり方は実は最良の方法ではない。低温になりすぎて魚の身が氷やけして白くにごってしまい死後硬直も早めてしまうからだ。この方法は魚を美味しく食べると言うよりも日もちを優先した保存方法なのだ。この方法だと23日は軽く魚を持たすことが出来るが活魚を美味しく食べるための方法とは言えない。活魚を美味しく食べるための保存温度は4度から16度の間と言われている。なので魚をクーラーで保存する場合は氷の上に雑誌やプラスチックの板などを一枚はさんだ上に新聞紙に巻いた魚を乗せればよい。夏場はクーラーの中も高温になる事が考えられるので、氷でサンドイッチにするなどの工夫が必要だろう。


 最近は針を使って魚を泳げない状態で生かしておく方法があるらしいが、そのやり方はわからない。


 ヒラメの場合は神経締めをすると硬直が早まってしまうので行わないように。また、太刀魚の場合は氷水につけても身は痛まないらしい。








脳〆→神経〆→血抜き→保存





 





~実用的な魚の保存方法~


 ただ前述した事は、慣れないうちは結構手間がかかるので、良型の美味しい魚が釣れたときなどのここぞと言うときだけに行う感じでいいと思う。


 通常は、ナイフでエラ元から背骨を切断し、エラの付け根を切って血抜きを行い、冬は氷の入ったクーラー、夏は氷水の入ったクーラーに漬けこめばよい。








一旦鮮度が落ちた魚どうあがいても元に戻す事は出来ないのでめんどくさがらずにきっちり処理しよう。