2017年12月21日記事
2023年10月30日再掲
ルビッチタッチ・・・という言葉を聞くだけで、うきうきしてしまう監督です。
そんなときめきを残して下さったことに感謝するしかありません。
監督もスタア・ルビッチ監督
エルンスト・ルビッチ監督、トラヴィス・バントン衣装作品。(アメリカ)91分
マレーネ・ディートリッヒ様、ハーバート・マーシャル様、メルヴィン・ダグラス様他
まあ、もう、スタッフ、キャストだけで贅沢~な一編であります。
ディートリッヒ様は、今更言わずもがな。
マーシャル様は、「ブロンド・ヴィナス」「海外特派員」「偽りの花園」
「月と六ペンス」「剃刀の刃」「女優志願」「蠅男の恐怖」等々
ダグラス様は、「ニノチカ」「奥様は顔が二つ」「候補者ビル・マッケイ」
「合衆国最後の日」「チャンス」「チェンジリング」等々
お三方皆さま、前世紀を息長く彩られた方ばかり。
ナチスが無ければ、アメリカにはいらっしゃらなかっただろう、
国籍をはく奪され、海を渡られた、エルンスト・ルビッチ監督。
「生きるべきか死ぬべきか」でナチス政権化を描かれた時も、
作品自体の語り口は揺るがない軽やかさがありました。
同じくヨーロッパから逃れたビリー・ワイルダー監督が、
ルビッチ邸に居候し、師事し、「ルビッチならどうする」と座右の銘に。
そんな「センス」の塊のようなお方が「ルビッチ・タッチ」で描き上げる、
洗練された、「キネマ」ならではの世界。
それをまた、トラヴィス・バントン様の絢爛たる衣装が彩る。
夜の部屋着だって、ファーですからね。
な訳で、広告写真も多いし、撮影現場写真も多い。
映画本編のものより多いか?ってくらい。
ルビッチ監督のお顔って、すんごいいかついんで、始め驚いた記憶。
その監督ご自身が、もはやスタアであります。
物語りは、仕事が忙しいお貴族様で外交官の夫のロンドンの留守宅から、
ふらっとおパリにお忍びで出かけたマリアが、
ロシアからの亡命者の大公妃で、怪しげなサロンを持つ旧友を訪ねる。
そこにたまたま居合わせた、アメリカ人のホルトンと出会い、
ディナーを共にする。恋心満々のホルトン。
どうしても名前を明かさない彼女を、
ホルトンは「天使」と呼ぶ。菫の花束を買っている間に姿を消す天使。
お花売りのお婆ちゃん、さり気に花束拾って籠に戻します。
そして、実は彼は夫パーカーの旧友。
パーカーとも久々に再会したホルトンは、彼の自宅に招かれ・・・
と、粋に語られていく三角関係の、最後までお洒落なこと。
お話は、別段特異なものでもない。
でもそこにあるのは奇跡の美しき楽しさ。
冒頭、身分を隠して、ホテルにチェックインし、
怪しげなサロンを訪れるディートリッヒ様に、サスペンス?かと思いましたわ。
だって、あの造形美だし。
男性お二人も、どちらも魅力的。
みどりは、ジャック・レモン様をちょいと色男にしたような、旦那様が好きでしたわあ。
出張から帰って、眠っている妻に見とれる。
一緒にオペラに行けば、皆が君を見てるよってくらい、妻にメロメロ。
なのに、愛する奥さんが、寂しい想いをしてるのに、気付いてない。
朝食の席で、最後は無言でどちらも新聞に向かっちゃうあたり、
このお二人だから、それも優雅な喜劇になるなあで。
足元にいるだけの愛犬?も、ゴージャスです。