血の音楽〜日本語の唄 | 犬神サアカス團 犬神明オフィシャルブログ「呪ってポン!」Powered by Ameba

血の音楽〜日本語の唄

日本の唄といったら、いま残ってる一番古いものだと万葉集だな。まあ6〜7世紀の話だよ。

このころから現在まで日本の唄のリズムは七五調だ。どんなに崩しても、どんなに英語っぽいイントネーションに変えても、俺たちは脳内で七五調のキメやアクセントを求めて聴いてしまうものだ。

では実際に万葉集の唄を見てみよう。

春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 
衣干したり 天の香具山

これは改善されて百人一首にも収録された唄だから聴き覚えがあるだろ?
文字数の区切りは5/7/5/7/7だ。
これを楽譜に書いてみよう。

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よく日本のリズムはシンコペーションやアウフタクトがないと言われるけど、この唄の「衣干したり、天の香具山」は裏スタートで感じてるはずだ。
七五調の「7」は「表スタートの7」と「裏スタートの7」があるんだ。

「いろは歌」冒頭の「色は匂えど〜」も裏スタートだ。これを表スタートで唄ったら「色・ワニ・お江戸〜」になって意味が変わっちまうだろ?
日本人にとって裏スタート(休符スタート)はべつに特別なものじゃない。

それが七五調だ。

大衆文化においても、川上音二郎さんの「オッペケペー節」からトニー谷さんの「あんたのお名前なんてーの?」からオリエンタルラジオさんの「武勇伝ネタ」に至るまで、七五調ってのは日本語にしっくりくるリズムなんだ。

言い換えれば七五調は日本語にもともと内在するリズムだとも言えるね。

「まさにこの世は生き地獄!」

これ、しっくりくるだろ?