今の形の資本主義というのは、関係者全員が、「通貨や株にはこれぐらいの価値がある」と信じて成り立っています。
たとえば、今の100円に100円の価値があるのは、みんなが「100円の価値がある」と信じているからです。
これが、「ひょっとして、10円ぐらいの価値しかないんじゃないの??」と疑い始めると、その疑心暗鬼が伝染していきます。
株の本質は、会社の価値を小分けにしたものです。10万分、100万分の1単位を証券取引所で売買しているわけです。
その価値がまだまだ上がると、多数の人が思っていたときは、バブルとなって、値段がつり上がっていきます。
逆に、今のように、それほどの価値はないんじゃないかと感じる人が増えると、値段が下がります。人間の心理は、極端なので、大きく上げたり、下げたりするわけです。
当たり前のことを説明しているようですが、経済は心理学で説明できます。今、世界経済が良くなっていくと信じている人が少数派になっています。そこで、株を買う人よりも、売る人が多くなり、必然的に株価が下がっていきます。
今のところ、株価が落ちているだけだと、株を持っていない人には対岸の火事ですが、ふつうの人にもその火の粉は降りかかってくるでしょう。
アメリカでは、ニューヨーク周辺の高級レストランがクローズし始めています。年収数千万円を稼ぐ人たちが、軒並みリストラされ、1人200ドル(2万円)のディナーを食べる変わりに、ピザですませようという人が増えたためです。
そうすると、レストラン関係だけでなく、不動産、内装業者、食材卸関係の人たちが、まともに影響を受けます。
実際に、アメリカでは新車の販売台数も減り、GMというアメリカの象徴のような会社が破綻寸前になっています。これから、一般の人の消費意欲が下がり、全体にお金の流れが悪くなっていくでしょう。
その余波は間違いなく、日本にもやってきます。
先日、大和生命が破綻したというニュースがありましたが、これは単なる始まりに すぎません。首都圏の新築マンションの売り上げは、前年比で50%も落ちました。
これから、ごく身近でも、会社の規模を問わず、倒産やそれにともなうリストラは増えていくでしょう。これまで、日本が経験したことのないレベルまでいくかもしれません。