上の本の元になった原稿です
*この章のまとめ
さて、この章では人が英語を学ぶというのがどういう現象なのかを概観したわけですが、理解できたでしょうか? 今まで抱いていた英語学習観と大きく異なるので、とまどいを覚えた方もいるでしょう。
そんな方のために、第3章の内容を大雑把に箇条書きにしたので、これを読むことでもう一度外国語学習1とは何かを確認するようにしてください。
•goedやdoedのような形が出てくるからわかるように、外国語学習は単なる暗記ではない。外国語を学ぶとは、頭の中に学ぼうとする外国語に関する仮説を作りあげていく仮説構築作業である。
•外国語の知識は覚えたからといってすぐに使えるわけではない。教科書で最初に出てくる三単現のsのルールを覚えていても、実際には使いこなせるようにならないことからそれがわかる。
•覚えた外国語の知識を使えるようにするためには、「気づき」を得ることによって、知っている知識を自動化することが必要である。
•「気づき」は必ずしも意図的な学習だけを通して得られるわけではない。「気づき」を得る上では、偶発的な学びも重要な役割をしている。従って、偶発的な学びと意図的な学びのバランスをうまく取らないと行けない。
もちろん、この説明を読んでもまだよくわからないと言う人もいるでしょう。ですが、心配しなくても実際に英語を勉強していれば、上で述べていることがどういうことなのかわかってきます。なので、気にすることなく、次の章に進んでいきましょう。
1 外国語学習について更に詳しいことが知りたい方は、世界思想社から出ている『英語を学ぶ人・教える人のために(羽藤由美)』や、大修館書店から出ている『「フォーカス・オン・フォーム」を取り入れた新しい英語教育 (和泉伸一)』を読むといいでしょう。どちらも、枝葉末節に囚われることなく、第二言語習得とは何かを説明しているお薦めの本です。