「クラブ」 | HAJIMEのひとりごと

HAJIMEのひとりごと

           

クラブと言っても、銀座や新地ではない。すすきのでも中洲でもない。イントネーションが違う「クラブ」は渋谷などに多いが、まったく無縁の世界だ(もっとも銀座も無縁であるが。銀座で行きつけなのは文具の伊東屋と、鉄道模型の天賞堂、それにアップルストアくらいのものだ)。


ここでいうクラブは蟹の意味で、航空用語の方である。
飛行機でクラブというと、蟹の横ばい状態を示す。では飛行機が横ばいをするのか、ということだが、それに近いことをするのである。
それは横風着陸のときだ。基本的に飛行機は風に向かって離陸、着陸をする。その方が離着陸の距離が短くできるからだ。
しかし滑走路に向かって横から風が吹くことだってある。
そのときは、風上に機首を向け、斜めになって降下していく。それが蟹の横ばいのさまに似ていることが、クラブと言われる所以である。そのままだと斜めに飛んで行ってしまうので、垂直尾翼にある方向舵で調整している。車でいうとカウンターを当てた状態である。
通常は滑走路へのタッチダウン寸前で、機首を滑走路に正対するように修正するのだが、風が強いと斜めのまま降りる時がある。
そのときの状態が機種によって違うのである。


B747とB777を比べると、着地の際のショックが違う。
B777は、方向舵と主車輪(メインギア)が連動しており、舵を切った方向を車輪も向く。B747にはこの機構がない。
したがって横風着陸のとき、777は機体のベクトルとタイヤの向きが異なっており、強い横揺れを起こす。しかし、滑走路にタイヤが正対しているので安全性が高い。
揺れが大きいと驚くが、決して危険ではないのである。
また、ドスンと着陸することがあるが、ゆるやかに着地した場合より滑走距離は短い。
滑走路が短い場合、意図的に強く着地することもあるのだ。


着陸時、揺れたり強く接地しても、パイロットが下手だからではないことがあるということを述べたかった。
逆に長い滑走路を使った場合、いつ接地したのか分からないような着陸をすることがある。私も一度ノースウェストの便でそういう経験をした。ノースは、飛行機は古いが、腕は確かである。
こういう着陸を「シルキーランディング」という。
まさに神業だ。
久々に飛行機ネタを記した。テンションが戻りつつあることの証明かも知れない。